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第5期 第13話 夢の続き

挿絵(By みてみん)


春。


柔らかな風が桜並木を吹き抜ける。


五年前。


小さなライブハウスから始まった物語は、多くの出会いと挑戦を重ね、今も続いていた。


今日は「NEXT RISE PROJECT」の新年度キックオフイベント。


全国から、新しい夢を胸に抱いたアーティストたちが集まっている。



会場のロビーでは、Luminous Fiveの五人が出演者たちと談笑していた。


「今日はよろしくお願いします!」


高校生バンドが緊張した様子で頭を下げる。


アヤネは笑顔で手を差し出した。


「こちらこそ。」


「今日は一緒に楽しもう。」


マアヤは新人ギタリストの楽器を見て話しかける。


「そのギター、大切に使ってるんだね。」


「はい!」


少年は嬉しそうに頷く。


アグリとミユキも、出演者たちの輪へ自然と加わっていく。


その姿には、かつて先輩たちから受け取った優しさが、そのまま受け継がれていた。



イノリはステージ袖で、一人の少女と話していた。


「緊張します……。」


ベースを抱えた少女の手は少し震えている。


イノリは優しく微笑んだ。


「私も最初は同じだったよ。」


「失敗したらどうしようって。」


少女は驚いたような顔になる。


「イノリさんでもですか?」


「もちろん。」


イノリはゆっくり頷いた。


「でもね。」


「完璧な演奏よりも、『音楽が好き』という気持ちのほうが、お客さんには伝わると思う。」


少女は深呼吸をして、小さく笑った。


「ありがとうございます。」


「頑張ってきます!」


その背中を見送りながら、イノリも穏やかな笑顔を浮かべた。



客席後方。


ユウキは静かに会場を見渡していた。


五年前。


女性にモテたいという単純な動機から会社を立ち上げ、音楽イベントを始めた。


けれど、今ここにあるものは、当時思い描いていたものとはまったく違っていた。


目の前には、夢へ向かって努力する人たち。


その夢を応援する仲間たち。


そして、音楽を楽しむ観客の笑顔。


ユウキは小さく微笑む。


「人との出会いが、人を変えるんだな。」



イベントの最後。


Luminous Fiveがステージへ上がる。


「こんばんは!」


アヤネの声に、大きな拍手が響く。


代表曲。


デビュー曲。


そして、新しい未来を歌った最新曲。


客席には、新人アーティストも、昔からのファンも、一緒になって手拍子を送っていた。


最後の曲が終わる。


会場は温かな拍手に包まれた。



アンコールのあと。


アヤネはマイクを握る。


「五年間、本当にありがとうございました。」


静かな空気が流れる。


「私たちは、これからも音楽を続けます。」


「夢は、終わりません。」


イノリも一歩前へ出る。


「今日ここにいる皆さんも、それぞれの夢を大切にしてください。」


「夢は、一人で叶えるものではなく、たくさんの人と支え合いながら育っていくものだと、私たちは教えてもらいました。」


客席から大きな拍手が送られる。



終演後。


夕焼けに染まるライブハウスの前。


ユウキとLuminous Fiveの五人は並んで歩いていた。


「長い旅でしたね。」


ミユキが笑う。


「でも、本当にあっという間だった。」


マアヤも頷く。


アグリは空を見上げた。


「また新しい夢が始まりそう。」


アヤネが笑顔で言う。


「私たちらしく、一歩ずつね。」


最後にイノリがユウキを見る。


「ありがとうございました。」


「ユウキさんと出会えたから、今の私たちがあります。」


ユウキは少し照れながら笑った。


「こちらこそ。」


「みんなのおかげで、僕もたくさんのことを学ばせてもらった。」


六人は歩みを止め、夕焼けの空を見上げる。


ライブハウス。


全国ツアー。


大型フェス。


海外ステージ。


数え切れない出会いと笑顔。


そのすべてが、一つの物語になっていた。


そして、その物語は終わりではない。


誰かが夢を見て。


誰かがその夢を応援し。


また新しい物語が始まっていく。


春風が静かに吹き抜ける。


ユウキは未来へ向かって歩き出す。


Luminous Fiveも、その隣で笑顔を浮かべる。


夢は、これからも続いていく。


**― 完 ―**


最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


長い物語も、これにて完結です。


主人公・ユウキが一つのライブハウスでLuminous Fiveと出会ったあの日から、全国ツアー、大型フェス、若手アーティスト支援プロジェクト、そして海外のステージまで、本当にさまざまな景色を一緒に歩んできました。


この作品で一番描きたかったことは、「夢は一人では叶えられない」ということです。


夢を追いかける人がいて、その背中を押してくれる人がいて、応援してくれる仲間やファンがいる。その積み重ねが、やがて新しい夢を生み、次の世代へと受け継がれていく――そんな連鎖を物語として表現したいと思い、このシリーズを書き続けました。


ユウキはイベントプロデューサーとして、多くの挑戦を支える存在になりました。


Luminous Fiveの五人も、それぞれが音楽と真摯に向き合い、小さなライブハウスから世界のステージへと成長していきました。


彼らの旅はここで一区切りとなりますが、物語の中では、この先もきっと新しい音楽を奏で、新しい夢を育て続けていくことでしょう。


最後まで応援してくださった皆さま、本当にありがとうございました。


皆さまからいただく感想や応援の一つひとつが、大きな励みになります。


もしこの作品を楽しんでいただけましたら、ブックマークや評価、ご感想をいただけると、とても嬉しいです。


そして、この物語が皆さまにとって、夢を追いかける勇気や、誰かを応援したいという気持ちにつながれば、作者としてこれ以上の喜びはありません。


また別の物語でお会いできる日を楽しみにしています。


本当にありがとうございました。


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