第5期 第10話 世界へ響く音
海外フェスティバル当日。
朝早くから会場にはスタッフが集まり、慌ただしく準備を進めていた。
巨大なステージ。
色鮮やかな照明。
世界各地から集まったアーティストたち。
これまで経験したどの会場とも違う空気が流れていた。
「いよいよだね。」
アヤネがゆっくりと深呼吸をする。
「うん。」
マアヤがギターケースを握り直した。
「楽しもう。」
アグリは鍵盤に軽く触れる。
ミユキは笑顔でスティックを回した。
イノリは四人を見渡し、静かに頷く。
「私たちらしく。」
◇
午前中。
リハーサルが始まる。
「Sound check.」
現地スタッフの案内に従い、五人はステージへ上がる。
広い客席にはまだ誰もいない。
それでも、その広さだけで胸が高鳴った。
アヤネがマイクへ向かう。
「よろしくお願いします。」
一曲だけ音を合わせる。
巨大なスピーカーから響く音。
これまで積み重ねてきた経験が、自然と五人を支えていた。
リハーサルを終えると、現地スタッフが笑顔で親指を立てる。
「Great!」
五人も笑顔で頭を下げた。
◇
午後。
いよいよ本番。
ステージ袖では、出演者たちが互いに健闘を祈り合っていた。
「Good luck!」
海外アーティストの言葉に、アヤネも笑顔で返す。
「Thank you!」
ユウキは舞台袖からその様子を見守る。
言葉は違っても、音楽を愛する気持ちは同じ。
そのことが自然と伝わってきた。
◇
「Next artist... Luminous Five!」
紹介のアナウンスが流れる。
五人は光の中へ歩き出した。
大きな歓声。
客席にはさまざまな国の人々が集まっている。
アヤネはマイクを握り、笑顔で挨拶した。
「Hello!」
その一言だけで、客席から拍手が起こる。
一曲目。
イントロが流れた瞬間、五人の表情から緊張が消えた。
ここは海外。
けれど、ステージの上ではいつもと同じだった。
マアヤのギターが響く。
イノリのベースが支える。
アグリのキーボードが彩りを添える。
ミユキのドラムが力強くリズムを刻む。
アヤネの歌声がホールいっぱいに広がった。
◇
二曲目。
客席では自然と手拍子が始まる。
言葉は通じなくても、リズムは一つになっていた。
イノリは客席を見渡す。
笑顔。
拍手。
音楽に合わせて体を揺らす人たち。
「伝わってる。」
その瞬間、自然と笑みがこぼれた。
◇
最後の曲。
サビでは客席も一緒に手を振る。
ホール全体が一つになっていた。
演奏が終わると、大きな拍手と歓声が響く。
「Thank you!」
アヤネが笑顔で手を振る。
五人は深く頭を下げた。
◇
舞台袖へ戻ると、海外アーティストたちが拍手で迎えてくれた。
「Wonderful!」
「Amazing!」
言葉は違っても、その笑顔だけで十分だった。
ユウキも静かに近づく。
「お疲れさま。」
「ユウキさん。」
イノリは嬉しそうに笑う。
「音楽って、本当に国境がないんですね。」
ユウキは穏やかに頷いた。
「今日のみんなが、そのことを証明してくれた。」
◇
ホテルへ戻る途中。
夜景を眺めながら、五人は今日の出来事を語り合う。
「海外のお客さんも一緒に手拍子してくれたね。」
「すごく嬉しかった。」
「また来たい。」
笑顔が絶えない。
イノリは窓の外を見つめながら、小さくつぶやく。
「ライブハウスから始まった夢が、世界まで届いた。」
その言葉に、誰もが静かに頷いた。
世界へ響いた五人の音。
その音は、新しい未来への扉を、確かに開いたのだった。




