第5期 第9話 海を越えて
海外フェスティバルまで、あと一週間。
Luminous Fiveのスタジオには、いつも以上に引き締まった空気が流れていた。
「本番と同じ流れで通そう。」
アヤネがマイクを握る。
「海外だからって特別なことをするんじゃなくて、私たちらしいライブを届けよう。」
「うん!」
四人が力強く頷く。
マアヤがギターを構え、アグリが鍵盤へ指を置く。
イノリはベースを抱え、小さく深呼吸をした。
「始めよう。」
演奏が始まる。
何度も磨き上げた楽曲。
全国ツアーで育てた曲。
そして、新しく完成した一曲。
スタジオいっぱいに、五人の音が響いた。
◇
一方、ユウキは会社で最終確認を進めていた。
「パスポート、機材、現地スタッフとの連絡。」
スタッフがチェックリストを読み上げる。
「すべて問題ありません。」
ユウキは静かに頷いた。
「ありがとう。」
「日本で積み重ねてきたものを、そのまま届けよう。」
スタッフたちも笑顔で返事をする。
「はい!」
◇
出発当日。
空港にはLuminous Fiveの五人とユウキ、そして運営スタッフが集まっていた。
「飛行機に乗るの、久しぶり。」
ミユキが窓の外を見ながら笑う。
「私は初めて海外に行く。」
アグリが少し緊張した表情を浮かべる。
「楽しみだけど、ドキドキする。」
イノリも小さく笑った。
「私も。」
ユウキは搭乗ゲートを見つめながら言う。
「緊張するのは、それだけ大切な舞台だからだね。」
◇
数時間後。
飛行機は目的地へ到着した。
空港へ降り立つと、日本とは少し違う街並みが広がっている。
高層ビル。
見慣れない看板。
行き交う人々のさまざまな言葉。
「本当に海外なんだ。」
マアヤが周囲を見渡す。
「なんだか新鮮。」
アヤネも笑顔になる。
◇
ホテルへ向かう車の中。
窓の外を眺めながら、イノリが静かにつぶやく。
「音楽って、国が違っても届くのかな。」
ユウキは穏やかに答えた。
「言葉は違っても、心を動かす力は同じだと思う。」
「だから、いつもどおり演奏すればいい。」
イノリは安心したように頷いた。
「はい。」
◇
夕方。
会場へ向かい、ステージの下見を行う。
広いホール。
巨大な照明設備。
世界各地から集まった出演者たちが、それぞれリハーサルを進めていた。
「すごい……。」
ミユキが思わず声を漏らす。
「ここで演奏するんだ。」
アヤネはステージ中央へ歩き、静かに客席を見渡した。
「景色は違う。」
「でも。」
イノリがその隣へ立つ。
「ステージへ立つ気持ちは、日本と変わらないね。」
五人は顔を見合わせ、自然と笑顔になる。
◇
ホテルへ戻る途中。
街には夜景が広がっていた。
ユウキとイノリは少しだけ歩きながら、その景色を眺める。
「ライブハウスから始まった私たちが、海を越えてここまで来ました。」
イノリは感慨深そうに言う。
「いろいろな人との出会いがあったからこそだね。」
ユウキも静かに頷いた。
「そして、この出会いがまた次の未来につながっていく。」
夜風がゆっくりと吹き抜ける。
明日はリハーサル。
その先には、世界中の音楽ファンが待つステージがある。
Luminous Fiveは胸いっぱいの期待を抱きながら、新たな一日を迎える準備をするのだった。




