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第6話 少しずつ近づく距離

挿絵(By みてみん)


イノリと食事をしてから、二週間が過ぎた。


ユウキは第二回「NEXT RISE FESTIVAL」の企画を本格的に動かし始めていた。


スポンサーとの打ち合わせ。


出演候補への連絡。


会場の下見。


忙しい毎日だったが、以前よりも不思議と充実していた。


仕事の合間には、Luminous Fiveのメンバーとも連絡を取り合うようになっていたからだ。



ある土曜日。


ユウキはメンバー全員を集め、イベントの企画説明会を開いた。


「今回は前回より規模を大きくしたいと思っています。」


スクリーンには新しい企画書が映し出される。


「ライブだけじゃなく、出演者同士のトーク企画や物販エリアも充実させる予定です。」


「すごい……。」


アグリが感心したように資料を眺める。


「前回よりお客さんも増えそうですね!」


ミユキは期待に胸を膨らませる。


マアヤは細かくメモを取りながら質問を重ね、アヤネはリーダーらしく全体を確認していた。


イノリは相変わらず落ち着いた様子で話を聞いている。


「何か気になることはある?」


ユウキが尋ねると、イノリが静かに手を挙げた。


「出演者同士の交流時間があるなら、初対面の人でも話しやすいような工夫があると嬉しいです。」


「なるほど。」


ユウキはその場でメモを取る。


「名札に一言プロフィールを書けるようにしたらどうかな。」


「それ、いいですね。」


アヤネも賛成した。


「アイデアを取り入れてもらえるなんて嬉しいです。」


イノリは少し照れながら笑った。



打ち合わせが終わると、自然と雑談が始まった。


「社長って休日は何してるんですか?」


ミユキが興味津々で聞く。


「最近はライブ巡りかな。」


「へぇ!」


「皆さんと出会ってから、音楽を聴く時間が増えたよ。」


その言葉に、五人は嬉しそうな表情を見せた。


「おすすめのバンド、いっぱいありますよ!」


マアヤがスマートフォンを取り出し、お気に入りのプレイリストを見せる。


「今度ぜひ聴いてみる。」


そんな何気ないやり取りが、以前よりずっと自然になっていた。



帰り道。


イノリはユウキと同じ駅まで歩くことになった。


「今日は楽しかったですね。」


「みんなが積極的に意見を出してくれて助かったよ。」


「ユウキさんは、ちゃんと話を聞いてくれますから。」


イノリは微笑む。


「だから、私たちも安心して意見を言えるんです。」


その言葉は、ユウキにとって何より嬉しい評価だった。


「ありがとう。」


駅のホームに電車が滑り込んでくる。


「じゃあ、また来週。」


「はい。また連絡します。」


電車に乗り込んだイノリは、窓越しに小さく手を振った。


ユウキも手を振り返す。


その光景を見ながら、ユウキはふと思う。


仕事の縁から始まった関係は、少しずつ互いを理解し合う信頼へと変わり始めている。


焦る必要はない。


一歩ずつ、お互いを知っていけばいい。


そんな穏やかな気持ちとともに、第二回イベントへ向けた新しい日々が始まろうとしていた。

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