第5期 第6話 アンコールの先へ
「アンコール!」
「アンコール!」
ホール全体を包み込むような声が響く。
拍手は途切れることなく続き、客席の熱気は開演前以上だった。
舞台袖でLuminous Fiveの五人は顔を見合わせる。
「すごいね……。」
ミユキが目を潤ませながら笑う。
「こんなに長いアンコール、初めてかも。」
マアヤも静かに息を吐く。
アヤネはメンバーを見渡した。
「もう一度、行こう。」
「うん!」
五人は力強く頷いた。
◇
再びステージへ姿を現すと、会場は割れんばかりの歓声に包まれた。
「ありがとうございます!」
アヤネが深く頭を下げる。
「こんなに温かいアンコールをいただけるなんて、本当に幸せです。」
拍手がさらに大きくなる。
「最後に、もう一曲だけ聴いてください。」
静かなピアノの音色。
アグリが優しく鍵盤に触れる。
続いてイノリのベースが重なり、マアヤのギターがゆっくりと旋律を描く。
ミユキのドラムが静かにリズムを刻み始めた。
アンコールのために用意していた特別な一曲。
これまで支えてくれた人たちへの感謝を込めたバラードだった。
◇
客席は静かに聴き入っていた。
誰も声を出さない。
ただ音楽だけが、ホールいっぱいに広がっていく。
アヤネの歌声は優しく、それでいて力強かった。
スクリーンには五年間の思い出が映し出される。
初めてのライブハウス。
全国ツアー。
大型フェス。
新人アーティストたちとの笑顔。
そして今日、この記念ライブ。
演奏が終わると、数秒間の静寂が流れた。
やがて、会場中から大きな拍手が湧き起こる。
その拍手は、まるで波のように何度も何度も広がっていった。
◇
ステージ中央へ進み出たアヤネがマイクを握る。
「最後に、一つだけ。」
静かな声で話し始める。
「音楽を続けてきて、本当に良かったです。」
「嬉しい日も、悔しい日もありました。」
「でも、その全部が今日につながっていました。」
アヤネは一歩下がり、イノリへ視線を送る。
イノリはゆっくりとマイクを受け取る。
「私たちは、小さなライブハウスから始まりました。」
客席は静かに耳を傾ける。
「何度も迷いました。」
「それでも歩き続けられたのは、応援してくださる皆さんと、仲間がいたからです。」
少しだけ声を震わせながら微笑む。
「本当に、ありがとうございました。」
五人は横一列に並び、深く頭を下げた。
◇
舞台袖。
ユウキは静かに拍手を送っていた。
スタッフたちも、出演者たちも、誰もが笑顔だった。
「社長。」
運営スタッフが話しかける。
「最高のライブでしたね。」
「うん。」
ユウキは穏やかに答える。
「でも、一番嬉しいのは。」
ステージを見つめながら続ける。
「みんなが心から楽しそうに演奏していたことだ。」
◇
終演後。
楽屋には和やかな空気が流れていた。
出演者たちが次々と挨拶に訪れる。
「また一緒にライブしましょう!」
「ぜひ!」
笑顔が絶えない。
イノリは窓の外を眺めながら、小さくつぶやく。
「ライブって終わると少し寂しいですね。」
ユウキが隣へ立つ。
「終わるから、また始めたくなる。」
「そうですね。」
イノリは笑顔になる。
「また新しい景色を見に行きたいです。」
「きっと行ける。」
ユウキは静かに頷いた。
ホールの照明が一つ、また一つと消えていく。
けれど、今日生まれた拍手や歌声は、それぞれの心の中でこれからも鳴り続ける。
そしてLuminous Fiveは、その音を胸に、新しい未来への一歩を踏み出していくのだった。




