第5期 第4話 開幕の朝
「NEXT RISE PROJECT 5th ANNIVERSARY」
開催当日。
まだ朝日が昇ったばかりの時間にもかかわらず、会場周辺には多くの人が集まり始めていた。
受付ではスタッフが慌ただしく準備を進めている。
「パンフレットはこちらです。」
「入場列はこちらへお願いします。」
会場全体が、高揚感に包まれていた。
◇
楽屋ではLuminous Fiveの五人が静かに支度をしていた。
いつものライブとは違う。
今日は五年間の集大成となるステージ。
自然と緊張も大きくなる。
「眠れた?」
ミユキが笑いながら尋ねる。
「少しだけ。」
マアヤが苦笑する。
「楽しみすぎて目が覚めちゃった。」
アグリはゆっくりと深呼吸をした。
「でも、不思議と怖くはない。」
イノリも穏やかに微笑む。
「ここまで積み重ねてきた時間があるから。」
アヤネが立ち上がる。
「今日も、私たちらしく。」
四人は静かに頷いた。
◇
一方、ユウキは開場前の最終確認を行っていた。
音響。
照明。
配信設備。
誘導スタッフ。
すべての部署から「準備完了」の報告が届く。
「社長。」
運営責任者が近づく。
「予定どおり開場できます。」
ユウキは大きく息を吐いた。
「ありがとう。」
「みんなで作り上げたイベントだ。」
「最高の一日にしよう。」
◇
午前十時。
開場。
ロビーには、五年間を振り返る写真パネルが展示されていた。
初回イベントの写真。
全国ツアー。
大型フェス。
「NEXT RISE FESTIVAL EXTRA」。
そして、出演者たちの笑顔。
来場者は足を止め、一枚一枚を見つめている。
「懐かしい。」
「このライブ、行ったな。」
そんな声があちこちから聞こえてきた。
◇
正午。
イベントが始まる。
スクリーンには五年間の映像が映し出される。
小さなライブハウス。
数十人の観客。
初めてのフェス。
全国を巡るツアー。
夢を語る若いアーティストたち。
映像が終わると、大きな拍手が会場を包んだ。
ユウキは舞台袖からその光景を見つめる。
「あの日から、本当にたくさんの景色を見た。」
◇
午後。
新人アーティストたちのステージが始まる。
以前このイベントへ出演した人たちも、今では堂々とした演奏を見せていた。
客席からは惜しみない拍手。
ステージ袖ではLuminous Fiveも笑顔で見守っていた。
「みんな、本当に成長したね。」
アグリが静かにつぶやく。
イノリも嬉しそうに頷く。
「続けてきた時間が、音に表れてる。」
◇
夕方。
いよいよLuminous Fiveの出番が近づく。
スタッフが声をかける。
「五分前です。」
アヤネは四人を見渡した。
「ここまで来られたのは、みんなのおかげ。」
「そして応援してくれた皆さんのおかげ。」
マアヤが拳を握る。
「最高のライブにしよう。」
ミユキが笑顔で頷く。
「絶対に。」
アグリは静かに目を閉じ、深呼吸をした。
イノリはステージへ続く扉を見つめる。
その向こうには、大勢の観客が待っている。
ユウキが楽屋へやって来た。
「みんな。」
五人が振り返る。
「楽しんできて。」
その一言だけだった。
しかし、それだけで十分だった。
「はい。」
五人は笑顔で答える。
扉が開く。
大きな歓声が楽屋まで届く。
Luminous Fiveは顔を見合わせ、小さく頷いた。
そして、五年間の想いを胸に、光に包まれたステージへと歩き出していく。
物語は、いよいよ最後のクライマックスへ向かって動き始めた。




