表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
55/65

第5期 第3話 五年間の軌跡

挿絵(By みてみん)


「NEXT RISE PROJECT 5th ANNIVERSARY」まで、あと二週間。


ユウキの会社では最終準備が本格化していた。


会議室の壁には、会場レイアウトやタイムテーブルが貼られている。


「出演者全員のリハーサル時間を最終調整しました。」


スタッフが資料を渡す。


「配信チームとの打ち合わせも完了しています。」


ユウキは一枚ずつ確認し、静かに頷いた。


「ありがとう。」


「五年間の集大成だからこそ、一人ひとりが安心してステージへ立てる環境を作ろう。」


「はい!」


スタッフの返事には、これまで積み重ねてきた自信が感じられた。



一方、Luminous Fiveは都内のスタジオで最終リハーサルを続けていた。


「今日は最初から最後まで通そう。」


アヤネがマイクを握る。


「本番と同じ気持ちで。」


「了解!」


ミユキがスティックを鳴らす。


演奏が始まる。


デビュー当時の曲。


全国ツアーで育った代表曲。


大型フェスで披露したオリジナル曲。


五年間の歩みを振り返るようなセットリストだった。


演奏を終えると、誰からともなく拍手が起こる。


「いいライブになりそう。」


アグリが微笑む。


「今までで一番、自分たちらしいライブになる気がする。」


イノリも静かに頷いた。



その日の夕方。


ユウキはライブ映像の編集室を訪れていた。


大型スクリーンには、これまでのイベント映像が映し出されている。


初めて開催した小さなライブイベント。


全国ツアー。


大型フェス。


「NEXT RISE FESTIVAL EXTRA」。


そして、Luminous Fiveの成長。


「この映像、オープニングで流します。」


映像スタッフが説明する。


「五年間を振り返る内容です。」


ユウキは映像を見つめながら、小さく笑った。


「あっという間だったな。」


映像の中には、まだ幼さの残る五人の姿も映っていた。



数日後。


合同リハーサルが行われる。


ステージには、五年間で出会ったアーティストたちが集まっていた。


「あの頃は高校生でした。」


「今は自分たちでワンマンライブをしています。」


そんな会話が自然と交わされる。


イノリは以前出会ったベーシストと再会した。


「イノリさん。」


「久しぶり。」


「新しい曲、完成したんです。」


「聴かせてもらえる?」


短い演奏だった。


それでも、その音には以前よりもずっと自信が宿っていた。


「すごく良くなったね。」


イノリは素直に拍手を送る。


「ありがとうございます!」


少年は照れながら笑った。



夜。


合同リハーサルを終えたあと、ユウキとイノリは会場の客席へ座っていた。


誰もいないホール。


静かなステージだけが照明に照らされている。


「ここが、満員になるんですね。」


イノリがぽつりとつぶやく。


「きっと。」


ユウキはステージを見つめたまま答えた。


「でも、大切なのは人数じゃない。」


「ここへ集まる人たち全員が、それぞれの夢を持っていること。」


イノリは静かに頷く。


「夢って、伝染するんですね。」


「誰かの挑戦を見て、自分も挑戦してみようと思える。」


「その連鎖が、このイベントを育ててくれた。」


二人はしばらく無言でステージを見つめていた。


やがてイノリが微笑む。


「本番が楽しみです。」


「うん。」


ユウキも笑顔になる。


「最高の一日にしよう。」


客席に静かな照明が落ちる。


五年間の軌跡は、もうすぐ一つのステージでつながる。


そしてその日、新しい未来への扉が再び開かれようとしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ