第4期 第11話 夢のその先へ
梅雨が明け、夏の日差しが街を照らしていた。
「NEXT RISE FESTIVAL EXTRA」は二年目の中盤を迎え、各地のライブハウスでは連日のように新人アーティストたちがステージへ立っていた。
ユウキの会社では、イベント運営チームが新たな資料を広げている。
「社長、今年の参加希望者数が過去最多を更新しました。」
スタッフが報告する。
「去年と比べて、およそ二倍です。」
ユウキは静かに資料を閉じた。
「ありがたいね。」
「その分、一人ひとりと丁寧に向き合える運営を続けよう。」
「はい。」
スタッフたちは力強く頷いた。
◇
その日の午後。
Luminous Fiveは都内のスタジオで新曲の制作を進めていた。
「サビ、もう少し広がりが欲しいかな。」
マアヤがギターを弾きながら提案する。
「キーボードで少し重ねてみようか。」
アグリが鍵盤に手を置く。
ミユキはリズムを変えながら試してみる。
「こっちのほうがライブ映えしそう!」
アヤネは歌詞を見つめ、小さく口ずさむ。
イノリは全体を聴きながら、ゆっくりと頷いた。
「みんなの音が一つになってきたね。」
以前よりも自然に意見を出し合い、一つの曲を作り上げていく。
その姿は、確かな経験を積み重ねてきた証だった。
◇
数日後。
「NEXT RISE FESTIVAL EXTRA」の会場。
イベント終了後、新人アーティストとの座談会が開かれた。
「質問があります!」
一人の高校生ドラマーが手を挙げる。
「皆さんは、夢を諦めそうになったことはありますか?」
会場が静かになる。
アヤネがマイクを持つ。
「もちろんありました。」
「ライブにお客さんが少ない日もありました。」
マアヤが続ける。
「思うように演奏できなくて落ち込んだこともあります。」
アグリは穏やかに話す。
「でも、一人じゃなかったから続けられました。」
最後にイノリが口を開く。
「夢は、一直線には進みません。」
静かな声が会場へ響く。
「遠回りをしたり、立ち止まったりする日もあります。」
「でも、その時間も全部、自分の音楽になります。」
客席から大きな拍手が送られた。
◇
イベント終了後。
出演者たちは笑顔で写真を撮り合い、連絡先を交換していた。
「また一緒にライブしましょう!」
「ぜひ!」
そんな会話があちこちで聞こえてくる。
ユウキはその光景を見ながら微笑んだ。
「音楽が、人と人をつないでいる。」
数字では表せない価値が、確かにそこにあった。
◇
夜。
会場近くの公園。
ユウキとイノリはベンチへ座り、缶コーヒーを片手に夜空を眺めていた。
「今日の質問、考えさせられました。」
イノリが静かに言う。
「諦めそうになったこと、何度もありました。」
「でも、振り返ると、そのたびに誰かが支えてくれていました。」
ユウキは穏やかに笑う。
「それが仲間なんだろうね。」
「はい。」
イノリも笑顔で頷いた。
「今度は私たちが、誰かの支えになれたら嬉しいです。」
公園を吹き抜ける夜風は涼しく、夏の虫の声が静かに響いていた。
夢は、叶えることだけが目的ではない。
誰かの夢を応援できる存在になることも、また一つの夢なのだ。
ユウキとLuminous Fiveは、その想いを胸に、また新しいステージへ向かって歩き続けるのだった。




