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第4期 第10話 広がるステージ

挿絵(By みてみん)


春が過ぎ、初夏の陽気が街を包み始めた。


「NEXT RISE FESTIVAL EXTRA」は全国二十都市目の開催を迎えていた。


これまで出演したアーティストは百五十組を超え、イベントの存在は音楽業界でも少しずつ知られるようになっている。


ユウキは会場入りすると、受付の様子を静かに眺めていた。


「社長。」


スタッフが近づいてくる。


「今日は音楽雑誌の取材も入っています。」


「そうなんだ。」


「このプロジェクトについてインタビューをお願いしたいそうです。」


ユウキは小さく頷いた。


「出演者が主役だから、僕よりも現場を見てもらいたいね。」


スタッフは笑顔で返事をした。


「そのように伝えておきます。」



リハーサルでは、Luminous Fiveが新人アーティストたちと一緒に機材確認を行っていた。


「ギターの音、もう少し返してもらえますか?」


マアヤがスタッフへ伝える。


隣では、新人バンドのギタリストがその様子を真剣に見ていた。


「どうしたの?」


マアヤが声をかける。


「機材スタッフさんへの伝え方が分からなくて……。」


少し恥ずかしそうに答える。


「最初はみんな分からないよ。」


マアヤは笑顔で言った。


「『こういう音にしたい』って素直に伝えれば大丈夫。」


「ありがとうございます!」


その一言だけで、新人ギタリストの表情が明るくなった。



イベント本番。


会場は満員ではない。


しかし、客席には音楽を楽しみに来た人たちの笑顔が広がっていた。


新人アーティストたちは、それぞれの想いを歌に乗せる。


緊張しながらも、最後まで演奏をやり切る姿に、大きな拍手が送られた。


ユウキはその様子を客席後方から見守る。


「挑戦する場所があるから、人は成長できる。」


その光景は、自分が思い描いていた未来そのものだった。



Luminous Fiveのライブ。


アヤネの歌声が会場に響く。


マアヤのギター。


イノリのベース。


アグリのキーボード。


ミユキのドラム。


五人の音が一つになる。


演奏を重ねるたびに、客席の熱量も高まっていく。


最後の曲が終わると、会場いっぱいに拍手が鳴り響いた。



ライブ終了後。


音楽雑誌の記者がユウキへインタビューを行う。


「このプロジェクトを続ける理由は何でしょうか?」


ユウキは少し考えてから答えた。


「誰かが最初の一歩を踏み出せる場所を作りたいと思ったからです。」


「成功するかどうかは、その人自身が決めることです。」


「でも、挑戦する機会だけは平等にあってほしい。」


記者は静かに頷きながらメモを取っていた。



帰り道。


イノリがユウキの隣を歩く。


「今日のインタビュー、聞いていました。」


「そう?」


「『挑戦する場所を作りたい』という言葉、すごく素敵でした。」


ユウキは少し照れくさそうに笑う。


「みんなと出会って、その考えが少しずつ形になったんだ。」


イノリは穏やかに微笑む。


「私たちも、この場所でたくさん成長させてもらいました。」


「だから、今度は私たちが支える番ですね。」


夕暮れの街を二人はゆっくり歩く。


オレンジ色に染まる空の下、新しい夢がまた一つ芽吹いていた。


挑戦する人がいる限り。


応援する人がいる限り。


そのステージは、これからも未来へ向かって広がり続けるのだった。


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