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第4期 第7話 広がる輪

挿絵(By みてみん)


「NEXT RISE FESTIVAL EXTRA」の開催から半年。


全国各地で開催されたイベントは、多くの若手アーティストの登竜門として知られるようになっていた。


ユウキの会社では、新たな集計資料が会議室のスクリーンに映し出されている。


「社長、これまでの開催は十五都市。」


スタッフが報告する。


「出演アーティストは百組を超えました。」


「来場者数も毎回増加しています。」


ユウキは静かに資料を見つめた。


「数字も大切だけど。」


スタッフへ視線を向ける。


「出演した人たちが、また次のステージへ進んでいることが一番嬉しい。」


会議室に穏やかな空気が流れた。



その週末。


今回の開催地は札幌。


気温は東京よりずっと低く、吐く息が白い。


「寒い!」


ミユキが肩をすくめる。


「もう冬なんだね。」


マアヤが笑う。


アグリは温かい飲み物を両手で包みながら言った。


「でも、この空気も好き。」


イノリは会場を見上げる。


「今日も新しい出会いがあるね。」



リハーサルが始まる。


今回出演する新人アーティストの中には、ソロで活動している女性シンガーもいた。


リハーサルを終えた彼女は、緊張した表情でイノリへ近づく。


「あの……。」


「はい?」


「実は、Luminous Fiveさんの動画を見て、ライブ活動を始めました。」


イノリは少し驚きながらも微笑んだ。


「ありがとう。」


女性は続ける。


「私、ずっと人前で歌う勇気がなかったんです。」


「でも、『挑戦してみよう』と思えました。」


イノリはゆっくり頷く。


「その一歩を踏み出したのは、あなた自身だよ。」


「今日も、自分らしく歌ってきて。」


「はい!」


その表情には、少しだけ自信が宿っていた。



イベント本番。


新人アーティストたちは、それぞれの想いを音楽に乗せて届けていく。


失敗しても、笑顔で最後まで歌い切る。


客席からは温かな拍手が送られた。


ユウキはその様子を見ながら、小さく息をつく。


「音楽には、人を前へ進ませる力がある。」


あらためて、そのことを実感していた。



Luminous Fiveのステージ。


「こんばんは!」


アヤネの元気な声とともにライブが始まる。


代表曲。


オリジナル曲。


そして、イベントのテーマソングとして制作した新曲。


客席は自然と一つになっていく。


演奏を終えたあと、イノリがマイクを持った。


「今日出演した皆さんの演奏を、舞台袖から聴いていました。」


会場が静かになる。


「一歩踏み出す勇気は、人それぞれ違います。」


「でも、その一歩は、きっと未来につながっています。」


客席から大きな拍手が響いた。



終演後。


出演者全員で記念写真を撮る。


笑顔が並ぶ一枚。


その写真を見ながら、ユウキは静かに笑った。


「この一枚の中から、未来のスターが生まれるかもしれない。」



ホテルへ戻る途中。


雪が静かに降り始めていた。


イノリは空を見上げる。


「雪ですね。」


「今年初めて見たかも。」


ユウキも足を止める。


「今日、出演していた子たちの目が、昔のみんなと重なったよ。」


「私もです。」


イノリは優しく微笑んだ。


「夢を追いかけている人の目って、すぐ分かります。」


「だからこそ応援したくなる。」


二人はゆっくり歩き出す。


白い雪が街を静かに包み込んでいく。


その雪のように、誰かの夢を支える優しさも、少しずつ日本中へ広がっていた。


そして、新しい出会いは、まだまだ続いていくのだった。


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