第4期 第2話 はじまりのライブハウス
「NEXT RISE FESTIVAL EXTRA」
プロジェクト始動の日。
ユウキは、最初の開催地として一軒のライブハウスを選んでいた。
それは、Luminous Fiveと初めて出会った場所だった。
「ここから始めるんですね。」
イノリが入口を見上げる。
「うん。」
ユウキは懐かしそうに微笑んだ。
「あの日、みんなの演奏を初めて聴いた場所だから。」
アヤネも建物を見つめる。
「私たちにとっても特別な場所です。」
「初心に戻れる気がする。」
マアヤが静かに言った。
◇
ライブハウスのオーナーが笑顔で迎えてくれた。
「久しぶりですね。」
「ご無沙汰しています。」
ユウキは握手を交わす。
「今日はよろしくお願いします。」
オーナーは五人を見渡し、嬉しそうに笑った。
「最初に出演した頃は、お客さんが十数人だったよね。」
「そうでしたね。」
ミユキが照れ笑いを浮かべる。
「今ではフェスにも出るようになって……。」
「成長したなあ。」
その言葉に、五人は少し照れくさそうな表情を見せた。
◇
この日の出演者は三組。
Luminous Fiveはトリを務めるが、それまでは客席から新人バンドの演奏を見ることになっていた。
一組目は高校生バンド。
緊張からか、演奏中に少しテンポが乱れる場面もあった。
それでも最後まで演奏をやり切ると、客席から温かい拍手が送られる。
「頑張ってましたね。」
アグリが小さく拍手を送る。
「初めてのステージだったのかな。」
イノリも静かに頷いた。
「少し前の私たちを見ているみたいでした。」
◇
二組目の演奏が終わると、控室で高校生バンドのメンバーと顔を合わせた。
「あ、Luminous Fiveの皆さん……!」
緊張した様子で頭を下げる。
アヤネは笑顔で声をかけた。
「ライブ、お疲れさま。」
「ありがとうございます!」
ギター担当の少年が言う。
「実は、フェスで皆さんを見てバンドを始めたんです。」
五人は顔を見合わせた。
「私たちを?」
マアヤが驚く。
「はい。あの日の演奏を見て、『自分もステージに立ちたい』って思いました。」
イノリは少し言葉を失った。
やがて、優しく微笑む。
「ありがとう。」
「その言葉、本当に嬉しいです。」
◇
いよいよLuminous Fiveの出番。
照明が落ち、歓声が響く。
「こんばんは!」
アヤネの第一声に、ライブハウス全体が盛り上がる。
大きなホールではない。
客席との距離も近い。
それでも――いや、だからこそ伝わる熱があった。
演奏を終えると、大きな拍手が響く。
最後のMCでアヤネがマイクを握った。
「私たちも、このライブハウスから始まりました。」
客席が静かになる。
「夢は、最初から大きくなくてもいいと思います。」
イノリが続ける。
「今日ここで演奏した皆さんも、客席で音楽を聴いている皆さんも、それぞれの一歩を大切にしてください。」
温かな拍手が広がった。
◇
ライブ終了後。
帰り道、ユウキとイノリは並んで歩いていた。
「今日は、特別な一日でした。」
イノリが穏やかに言う。
「自分たちが誰かのきっかけになれたって知って……少し信じられない気持ちです。」
「でも、それは紛れもない事実だよ。」
ユウキは笑顔で答えた。
「みんなが積み重ねてきた時間が、新しい夢を生み出した。」
イノリはゆっくり頷く。
「これからも、この場所を大切にしたいです。」
ライブハウスの灯りが、夜の街に優しく輝いていた。
夢は受け継がれていく。
誰かに憧れ、誰かの背中を追いかけ、そしていつか、自分が誰かの希望になる。
そんな新しい物語が、「NEXT RISE FESTIVAL EXTRA」とともに始まろうとしていた。




