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第4話 初めてのステージ

挿絵(By みてみん)


「NEXT RISE FESTIVAL」当日。


早朝からスタッフが会場を行き交い、照明や音響の最終チェックが進んでいた。


主催者であるユウキも、スーツ姿で各所を回りながら確認を続ける。


「音響チーム、リハーサルは予定どおりです」


「物販スペースの準備も完了しました」


次々と入る報告にうなずきながらも、ユウキの胸には緊張があった。


会社を経営して何年も経つ。


大きな商談や記者会見は経験してきた。


それでも、自分がゼロから企画したイベントが始まる瞬間は、まったく別の緊張感がある。


「社長!」


振り向くと、Luminous Fiveの五人が控室からやって来た。


「おはようございます!」


アヤネが元気よく頭を下げる。


「緊張してる?」


ユウキが尋ねると、ミユキが苦笑した。


「昨日、ほとんど眠れませんでした……」


「私も。」


マアヤも照れくさそうに笑う。


一方、イノリは深呼吸をしてから静かに言った。


「緊張しています。でも、それ以上に楽しみです。」


その表情には、この一か月で培ってきた自信がうかがえた。


「その気持ちなら大丈夫。」


ユウキは五人を見渡す。


「今日は、自分たちらしい演奏を届けてきてください。」


五人は力強くうなずいた。


「はい!」



開演。


客席には予想を上回る観客が集まっていた。


出演者たちが順番にステージへ立ち、会場は少しずつ熱気を帯びていく。


そして――。


「続いては、Luminous Five!」


スポットライトが五人を照らした。


アヤネの歌声が響き、


マアヤのギターが駆け抜け、


イノリのベースが土台を支え、


アグリのキーボードが彩りを添え、


ミユキのドラムが力強くリズムを刻む。


ライブハウスでは味わえなかった大きなステージ。


それでも五人は臆することなく演奏を続けた。


一曲目が終わる。


客席から大きな拍手が沸き起こった。


「すごい……」


袖から見守っていたユウキは、自然と笑みを浮かべる。


彼女たちは、この舞台に立つ資格を自分たちの力で証明したのだ。



イベントは大成功だった。


終演後、出演者やスタッフが集まって簡単な打ち上げが行われる。


「今日は本当にありがとうございました!」


アヤネがグラスを持ち上げる。


「こんな景色、初めて見ました!」


ミユキも興奮気味だ。


「また出演したいです。」


アグリが静かに微笑む。


ユウキは五人の笑顔を見ながら、心から安堵していた。


そのとき、イノリが隣へ歩いてきた。


「ユウキさん。」


「お疲れさま。」


「今日はありがとうございました。」


彼女は少し照れたように笑う。


「このイベントがなかったら、私たちはこんな経験ができませんでした。」


「ステージに立ったのは、みんなの実力だよ。」


「それでも……きっかけをくれたのはユウキさんです。」


しばらく沈黙が流れる。


そしてイノリは、小さく息をついた。


「今度、お礼に食事をご一緒しませんか?」


「お礼なんて気にしなくていいのに。」


「私がそうしたいんです。」


真っすぐな視線だった。


ユウキは穏やかにうなずく。


「じゃあ、仕事抜きでゆっくり話そう。」


「はい。」


連絡先を改めて交換し、二人は次の予定を決める。


仕事を通じて生まれた信頼が、少しずつプライベートへと広がり始めていた。


その変化に、まだ二人とも名前を付けることはできなかった。

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