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第3期 第13話 あの日見上げたステージ

挿絵(By みてみん)


大型音楽フェス当日。


早朝。


会場には、開場前から長い列ができていた。


家族連れ。


友人同士。


音楽好きの人たち。


そして、Luminous FiveのタオルやTシャツを身に着けたファンの姿もある。


「すごい人数だ……。」


ミユキがモニター越しに客席を見つめる。


「今までで一番だね。」


マアヤも静かに息をのんだ。


アグリは深呼吸をしながら鍵盤に触れる。


「いつもどおり。」


イノリが穏やかに言った。


「私たちの音を届けよう。」


アヤネは四人を見渡し、笑顔を見せる。


「今日も最高のライブにしよう!」


「うん!」


五人の声が重なった。



客席後方。


ユウキはスタッフパスを首から下げ、静かにステージを見つめていた。


数年前。


仕事だけに没頭していた自分。


音楽とは縁のない人生だった。


そんな自分が、小さなライブハウスで五人と出会った。


あの日から、少しずつ世界が変わっていった。


「いよいよだな。」


ユウキは小さくつぶやいた。



「続いてのアーティストは――Luminous Five!」


紹介のアナウンスとともに、大きな拍手が響く。


スポットライトが五人を照らした。


アヤネがマイクを握る。


「皆さん、こんにちは!」


歓声が返ってくる。


イントロが流れる。


マアヤのギター。


イノリのベース。


アグリのキーボード。


ミユキのドラム。


そして、アヤネの歌声。


何万人もの観客を前にしても、五人は臆することなく演奏を続けた。


全国ツアーで積み重ねた経験。


何度も練習したオリジナル曲。


そのすべてが、このステージで一つになっていた。



二曲目が終わると、アヤネがマイクを握る。


「私たちは、小さなライブハウスから活動を始めました。」


会場が静かになる。


「最初は、数人のお客さんの前で演奏する日もありました。」


「それでも、応援してくださる皆さんのおかげで、今日この場所へ立つことができました。」


客席から大きな拍手が起こる。


イノリは客席を見渡した。


最前列で笑顔を見せるファン。


初めて彼女たちを見る人。


その全員へ届けるように、静かに言葉を続ける。


「今日、初めて私たちを知ってくださった皆さんにも、またどこかでお会いできたら嬉しいです。」


「最後まで楽しんでください!」


歓声がさらに大きくなった。



ラストナンバー。


五人は笑顔で演奏を終えた。


最後の音が消えた瞬間、会場は大きな拍手に包まれる。


その光景を見たミユキの目には、うっすらと涙が浮かんでいた。


「ありがとうございました!」


五人は深く頭を下げる。


ステージ袖へ戻ると、スタッフたちからも拍手が送られた。


「最高でした!」


「お疲れさまでした!」


アヤネたちは顔を見合わせ、自然と笑顔になる。



終演後。


ユウキは楽屋を訪れた。


「みんな、お疲れさま。」


「ユウキさん!」


五人が一斉に立ち上がる。


「今日のライブ、本当に素晴らしかった。」


ユウキは心からそう伝えた。


「もう、誰が見ても胸を張れるステージだったよ。」


アヤネは照れくさそうに笑う。


「ありがとうございます。」


イノリが一歩前へ出る。


「今日の景色、一生忘れません。」


「私も。」


「私たちも。」


メンバー全員が頷く。


ユウキは穏やかに笑った。


「でも、ここはゴールじゃない。」


「はい。」


イノリの返事は迷いがなかった。


「もっとたくさんの人へ音楽を届けます。」



フェス会場を後にする頃には、夕焼けが空を赤く染めていた。


ユウキは振り返り、大きなステージを見つめる。


「夢は叶えるだけじゃない。」


「叶えた先で、また新しい夢が始まる。」


その言葉に、イノリは静かに頷いた。


「次は、私たちだけのホールツアー。」


アヤネが笑顔で続ける。


「そして、もっと大きな舞台へ。」


五人は並んで歩き始める。


その背中には、自信と希望が宿っていた。


ユウキもまた、その背中を見守りながら、自分自身の新しい挑戦へと歩き出す。


ライブハウスで始まった一つの出会い。


その小さな縁は、多くの人をつなぐ大きな舞台へと育っていった。


そして物語は、さらに大きな未来へ――。


**第3期・完**


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