表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
37/65

第3期 第11話 憧れの舞台へ向けて

挿絵(By みてみん)


大型音楽フェスまで、あと三週間。


Luminous Fiveの練習は、これまで以上に熱を帯びていた。


「もう一回、最初から合わせよう。」


アヤネがマイクを握る。


「今日は本番と同じ流れでいこう。」


「了解!」


ミユキがスティックを鳴らす。


マアヤはギターを構え、アグリは鍵盤へ手を置く。


イノリは全員を見渡し、小さく息を吸った。


「いこう。」


演奏が始まる。


ツアーを終えた経験。


新曲を作った時間。


数え切れないライブ。


そのすべてが、五人の音に重なっていた。



演奏を終えると、スタジオに静かな余韻が残る。


「どうだった?」


アヤネがユウキへ視線を向ける。


今日は練習を見学に来ていた。


「良かった。」


ユウキは素直に答えた。


「でも、もっと良くなる。」


五人は真剣な表情になる。


「どこを直したらいいと思いますか?」


イノリが静かに尋ねた。


「技術じゃない。」


ユウキはゆっくり答える。


「今のみんななら演奏は十分伝わる。」


「じゃあ……。」


「初めて見るお客さんへ向けて、一曲目から『また聴きたい』と思ってもらえる空気を作ること。」


五人は顔を見合わせた。


「空気……。」


アグリが小さくつぶやく。


「演奏だけじゃなく、笑顔やMCも含めてライブなんだ。」


ユウキの言葉に、全員が頷いた。



翌日。


大型フェスの出演者向け説明会が開かれた。


会場には、さまざまなアーティストが集まっている。


「すごい人……。」


ミユキが周囲を見回す。


「テレビで見たことがある人もいる。」


マアヤも少し緊張した様子だった。


イノリは静かに資料を受け取りながら言う。


「気負いすぎないようにしよう。」


「うん。」


アヤネが笑顔を作る。


「私たちは私たちだもんね。」


説明会ではステージの使い方やタイムテーブル、リハーサルについて説明が行われた。


すべてが今まで経験したライブとは桁違いの規模だった。



説明会が終わると、ユウキが五人のもとへやって来た。


「どうだった?」


「想像以上でした。」


アグリが率直に答える。


「でも。」


イノリが続ける。


「少しだけ実感が湧きました。」


「本当にこの舞台へ立つんだって。」


ユウキは穏やかに笑う。


「ここまで来たんだから、自信を持っていい。」


「はい。」



帰り道。


イノリはユウキと並んで歩いていた。


夕焼けが街をオレンジ色に染めている。


「ユウキさん。」


「ん?」


「私、昔は人前で話すのも苦手だったんです。」


「そうなんだ。」


「でも。」


少し照れながら笑う。


「ライブを続けて、少しだけ変われた気がします。」


「音楽が変えてくれた?」


「それもあります。」


イノリは空を見上げた。


「でも、一緒に頑張る仲間がいたからです。」


その言葉に、ユウキは静かに頷いた。


「一人では届かない場所でも、仲間となら届くことがある。」


「はい。」


イノリの返事は力強かった。


大型音楽フェスまで、あと三週間。


憧れだった舞台は、もう目の前まで近づいていた。


五人は、その日を最高の笑顔で迎えるため、今日もまた音を重ね続けるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ