第3期 第10話 届いた知らせ
大型音楽フェスの選考結果が届く日。
朝からLuminous Fiveの五人は落ち着かない様子だった。
スタジオには機材が並んでいるものの、誰も演奏を始めようとはしない。
「まだかな……。」
ミユキがスマートフォンを何度も確認する。
「時計ばっかり見ちゃう。」
マアヤも苦笑する。
アグリは温かい紅茶を飲みながら静かに言った。
「結果は変えられないから、待つしかないね。」
イノリも小さく頷く。
「うん。」
そう答えながらも、指先には少しだけ力が入っていた。
◇
同じ頃。
ユウキは会社で午前の会議を終えていた。
机の上には一通のメール通知が表示されている。
送信元は――
**大型音楽フェス実行委員会。**
ユウキは深呼吸をしてメールを開いた。
画面を最後まで読み終えると、自然と笑みがこぼれる。
「……よかった。」
すぐにスマートフォンを手に取り、イノリへメッセージを送った。
**『今日の午後、みんなで時間を取れるかな。伝えたいことがあります。』**
数秒後。
**『はい。スタジオで待っています。』**
◇
午後。
五人はスタジオに集まっていた。
「ユウキさん、何でしょう。」
アヤネが少し緊張した様子で尋ねる。
ユウキはゆっくりと封筒を取り出した。
「実行委員会から正式な連絡が来た。」
部屋の空気が張り詰める。
ユウキは五人の顔を見渡し、静かに言った。
「Luminous Five――」
一瞬の静寂。
「大型音楽フェスへの出演が決まりました。」
「……え?」
ミユキが目を丸くする。
「本当に?」
マアヤも信じられないという表情だった。
アグリは口元へ手を当て、小さく息をのむ。
イノリはしばらく言葉が出なかった。
やがて、小さく微笑む。
「決まったんですね……。」
アヤネの目には涙が浮かんでいた。
「ありがとうございます!」
五人は一斉に頭を下げる。
ユウキは首を横に振った。
「これは僕の力じゃない。」
「みんなが積み重ねてきた結果だよ。」
◇
しばらくすると、喜びが少し落ち着き、自然と笑い声が戻ってきた。
「大型フェスなんて夢みたい!」
ミユキが飛び跳ねる。
「出演者も有名な方ばかりですよね。」
アグリが資料を見つめる。
「だからこそ勉強になる。」
マアヤが真剣な表情で言う。
イノリは出演者一覧を見ながら静かにつぶやいた。
「このステージで演奏できるんだ……。」
◇
その日の夜。
六人は小さなレストランでささやかなお祝いをしていた。
「乾杯!」
グラスが軽く触れ合う。
「本当におめでとう。」
ユウキが笑顔で言う。
「ありがとうございます。」
アヤネが嬉しそうに頭を下げた。
「でも、ここからですね。」
イノリが静かに続ける。
「出演が決まっただけ。」
「当日、私たちらしい演奏を届けられるように頑張ります。」
ユウキは満足そうに頷いた。
「その気持ちなら大丈夫。」
◇
帰り道。
夜風が心地よく吹く中、ユウキとイノリは並んで歩いていた。
「今日は、一生忘れられない日になりました。」
イノリは星空を見上げる。
「ライブハウスで演奏していた頃の私たちが聞いたら、きっと驚きます。」
「夢は、ちゃんと前へ進んでいたんだね。」
「はい。」
イノリは笑顔で頷いた。
「でも、まだ夢の途中です。」
その瞳には、新しいステージへの期待が輝いていた。
大型音楽フェスまで、あと一か月。
Luminous Fiveは、これまでで最も大きな舞台へ向けて、新たな準備を始めるのだった。




