第3期 第6話 四つ目の街
全国ツアー四か所目。
歴史ある城下町に到着したLuminous Fiveの五人は、会場へ向かう前に街並みを眺めていた。
「風情がある街だね。」
アヤネが石畳の道を見渡す。
「ライブが終わったら少し歩いてみたいな。」
ミユキが笑うと、マアヤも頷いた。
「写真も撮りたい。」
イノリはスケジュールを確認しながら微笑む。
「まずはライブを成功させてからね。」
「もちろん!」
四人が声をそろえた。
◇
会場は、これまでのライブハウスより少し大きなホールだった。
スタッフとの打ち合わせもスムーズに進む。
「よろしくお願いします。」
イノリが音響スタッフへ挨拶すると、スタッフが笑顔で答えた。
「皆さんの評判は聞いています。今日は楽しみにしていました。」
その一言に、五人は顔を見合わせる。
「評判……。」
アグリが少し驚いたようにつぶやく。
ツアーを続ける中で、少しずつ名前が広がっていることを実感する瞬間だった。
◇
夕方。
ユウキも仕事を終え、会場へ駆けつけた。
「間に合った。」
客席後方からステージを見つめる。
照明が落ち、歓声が上がる。
「皆さん、こんばんは!」
アヤネの声が会場いっぱいに響く。
一曲目から会場の熱気は最高潮だった。
以前よりも観客との距離感が近い。
MCでは地元の話題を交え、笑いが起こる。
「初めてこの街へ来ました!」
「皆さんの温かい拍手が、本当に嬉しいです!」
その言葉に、大きな拍手が返ってきた。
◇
ライブ中盤。
新曲の演奏が始まる。
静かなイントロ。
アグリのキーボードが優しく響き、イノリのベースがゆっくりと重なる。
サビに入ると、客席では自然と手拍子が広がった。
演奏を終えた瞬間、会場は大きな歓声に包まれる。
イノリは客席を見渡し、小さく笑顔を見せた。
「ありがとう。」
その一言には、心からの感謝が込められていた。
◇
終演後。
楽屋には安堵した空気が流れていた。
「今日も楽しかった!」
ミユキが大きく伸びをする。
「新曲、どんどんお客さんに浸透してきてるね。」
マアヤが嬉しそうに笑う。
アヤネはタオルで汗を拭きながら言った。
「ツアーを通して、演奏するたびに曲が成長してる気がする。」
「私もそう思う。」
イノリが静かに頷く。
◇
帰り際。
ユウキは楽屋を訪れた。
「お疲れさま。」
「ユウキさん!」
五人が笑顔で迎える。
「今日のライブ、本当に良かった。」
ユウキは素直な感想を伝えた。
「みんなが楽しんで演奏しているのが客席まで伝わってきたよ。」
「ありがとうございます。」
イノリは少し照れたように笑う。
「ライブって、不思議ですね。」
「どうして?」
「同じ曲でも、その日のお客さんによって空気が変わるんです。」
ユウキは頷いた。
「だから毎回、新しいライブになる。」
「はい。」
イノリは嬉しそうに微笑んだ。
◇
ホテルへ戻る道。
夜風が心地よく吹いていた。
「次はいよいよツアーファイナルですね。」
イノリが静かに言う。
「もう最後か。」
ユウキは少し名残惜しそうに空を見上げる。
「始まる前は長い旅だと思っていたのに。」
「本当にあっという間でした。」
イノリは小さく笑った。
「でも、最後だからこそ、一番いいライブにしたいです。」
「きっとできる。」
ユウキは力強く答えた。
「ここまで積み重ねてきたものを、そのままステージに届ければいい。」
イノリはその言葉に頷き、夜空に輝く星を見上げた。
全国ツアーは、いよいよ最後の街へ。
旅の終わりは、新しい夢の始まりでもあった。




