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第3期 第5話 旅の途中で

挿絵(By みてみん)


全国ツアーも折り返しを迎えた。


五都市を予定していたツアーのうち、三公演が無事に終了した。


移動にも慣れ、ホテルでの荷ほどきも以前よりずっと早くなっている。


「最初はキャリーケースの中がぐちゃぐちゃだったのにね。」


ミユキが笑いながら荷物を整理する。


「今はちゃんと片付けられるようになった。」


マアヤも苦笑した。


「そういうところでも成長するんだね。」


イノリはスケジュール帳を閉じる。


「明日は移動だけだから、少しゆっくりできそう。」


「久しぶりのお休みだ!」


アヤネが嬉しそうに両手を上げた。



翌日。


次の公演地へ向かう途中、一行は乗り換え駅の近くを少しだけ散策することになった。


商店街を歩き、地元のお菓子を買い、お土産屋をのぞく。


「これ、おいしそう。」


アグリが小さな焼き菓子を手に取る。


「みんなで食べよう。」


自然な笑顔が広がる。


ライブだけではない。


こうした時間も、ツアーの大切な思い出になっていた。



午後。


ユウキも合流した。


「お疲れさま。」


「ユウキさん!」


五人が笑顔で迎える。


「今日は少し時間が取れたから、一緒に昼食でもどう?」


「ぜひ!」


地元で人気の定食屋へ入り、六人でテーブルを囲む。


「いただきます!」


温かい料理を前に、会話も弾んだ。


「次の会場はどんなところなんだろう。」


ミユキが期待に胸を膨らませる。


「写真で見た感じだと、今までで一番客席との距離が近そう。」


ユウキが答える。


「じゃあ、お客さんの表情もよく見えますね。」


イノリが嬉しそうに微笑んだ。



食後。


川沿いの遊歩道を歩きながら、イノリが静かに話し始める。


「ツアーが始まる前は、不安しかありませんでした。」


「でも今は?」


ユウキが尋ねる。


「終わってほしくないって思っています。」


その言葉に、ユウキは少し驚いた。


「毎日が新鮮なんです。」


イノリは笑う。


「ライブをして、新しい人と出会って、新しい街を知って。」


少し空を見上げる。


「音楽を続けてきて、本当に良かったと思えます。」


ユウキは穏やかに頷いた。


「その気持ちを忘れなければ、これから先も大丈夫。」


「はい。」


イノリは力強く返事をした。



夕方。


次の街へ向かう列車に乗り込む。


窓の外には、ゆっくりと流れる田園風景。


アヤネがぽつりと言う。


「こういう景色を見ると、日本って広いね。」


「だから、もっといろんな場所でライブがしたい。」


マアヤが続ける。


「いつか全国全部回れたらいいね。」


「その夢、叶えよう。」


アヤネの言葉に、全員が笑顔で頷いた。


車窓から差し込む夕日が、六人の表情を優しく照らす。


旅はまだ続く。


新しい街で待つ人たちへ音楽を届けるために。


そして、それぞれの夢へ、また一歩近づくために。


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