第3期 第4話 三つ目の街で見えた景色
全国ツアー三か所目。
山々に囲まれた地方都市。
朝早く会場入りしたLuminous Fiveの五人は、ステージの上から客席を見渡していた。
「今までで一番広い会場かも。」
ミユキが客席の最後列を見つめる。
「少し緊張するね。」
マアヤはギターケースを開きながら深呼吸をした。
「でも、こういう場所で演奏するのが夢だったんだよね。」
アヤネが笑顔で振り返る。
「今日も私たちらしくいこう!」
「うん!」
四人の返事が重なった。
◇
東京では、ユウキが午前中の打ち合わせを終えていた。
「社長、ツアーの評判がSNSでも広がっています。」
スタッフが画面を見せる。
「『地方でもライブを続けてくれて嬉しい』『また来てほしい』という投稿が増えています。」
ユウキは静かに微笑んだ。
「音楽が人と人をつないでいるんだな。」
午後には新幹線へ乗り込み、この日の公演へ向かう。
忙しい毎日だったが、不思議と疲れは感じなかった。
彼女たちが一歩ずつ夢へ近づく姿を見ることが、自分の活力にもなっていた。
◇
開場一時間前。
リハーサルを終えた五人は円陣を組んでいた。
「今日は新曲を初めてツアーで披露するよ。」
アヤネが確認する。
「練習どおり落ち着いて。」
イノリが続ける。
「お客さんに楽しんでもらうことを忘れない。」
「了解!」
ミユキが元気よく拳を上げた。
◇
ライブが始まる。
会場は満員ではない。
それでも、一人ひとりがステージへ真っすぐ視線を向けていた。
アヤネの歌声が響く。
マアヤのギターが会場を駆け抜ける。
イノリのベースが力強く支え、アグリのキーボードが優しく包み込む。
ミユキのドラムが会場全体を熱くしていく。
MCの時間。
アヤネがマイクを握った。
「この街へ来るのは初めてです。でも、こんなに温かく迎えていただけて、本当に嬉しいです!」
拍手が起こる。
その拍手に背中を押されるように、新曲の演奏が始まった。
演奏が終わると、一瞬の静寂。
そして、大きな歓声が会場いっぱいに響いた。
「ありがとう!」
五人は笑顔で何度も頭を下げた。
◇
終演後。
物販スペースには長い列ができていた。
「新曲、すごく良かったです!」
「また来年も来てください!」
初めて会うファンとの会話に、メンバーの笑顔も自然と増えていく。
少し離れた場所でその様子を見ていたユウキは、小さく拍手を送った。
「ちゃんと届いている。」
その言葉を聞いたイノリが近づいてくる。
「ユウキさん。」
「お疲れさま。」
「今日は、新曲の反応が思っていた以上でした。」
「客席のみんなが真剣に聴いていたね。」
イノリは嬉しそうに頷いた。
「演奏しながら、それが伝わってきました。」
◇
ホテルへ戻る前。
六人は地元の名物料理を囲んで夕食を取ることになった。
「いただきます!」
湯気の立つ料理を前に、自然と笑顔がこぼれる。
「こうしてみんなで食べる時間も、ツアーの楽しみだね。」
アグリが穏やかに言う。
「ライブだけじゃなくて、その土地の思い出も増えていく。」
ユウキも頷いた。
「仕事で地方へ来ることはあっても、こうして街をゆっくり感じる機会は少なかった。」
イノリが微笑む。
「音楽のおかげで、新しい景色に出会えていますね。」
「そうだね。」
窓の外には、静かな夜景が広がっていた。
全国ツアーはまだ道半ば。
一つの街を終えるたびに、新しい出会いと新しい思い出が増えていく。
その積み重ねが、Luminous Fiveをさらに大きなステージへと導いていくのだった。




