第3期 第2話 旅立ちの朝
全国ツアー初日。
東京駅のホームには、早朝にもかかわらずLuminous Fiveの五人が集まっていた。
「いよいよだね。」
アヤネが大きく伸びをする。
「緊張して眠れなかったよ。」
ミユキが苦笑すると、マアヤも笑って頷いた。
「私も何度も目が覚めちゃった。」
アグリはキャリーケースを押しながら、穏やかな表情で言う。
「でも、この日をずっと楽しみにしていたから。」
イノリは改札の向こうを見つめ、小さく息を吸った。
「行こう。」
その一言に、四人は力強く頷いた。
◇
一方、ユウキは会社でオンライン会議を終えたばかりだった。
「社長、今日からツアーですよね。」
スタッフがコーヒーを差し出す。
「初日の会場には行かれるんですか?」
「夕方まで仕事を片付けて、新幹線で向かう予定だよ。」
ユウキは笑顔で答えた。
主催するイベントの準備も進めながら、彼女たちの大切な一歩も見届けたい。
そんな思いがあった。
◇
午後。
ツアー初日の会場は、地方都市にあるライブホールだった。
開場前から入口にはファンの列ができている。
「東京から来ました!」
「この日を楽しみにしていました!」
スタッフからそんな声を聞き、アヤネは驚いた表情を浮かべた。
「遠くから来てくれた人もいるんだ……。」
イノリは客席をそっと見渡す。
「期待に応えたいね。」
「うん。」
◇
開演。
照明が落ち、五人がステージへ姿を現す。
「こんばんは! Luminous Fiveです!」
大きな拍手が響く。
一曲目から会場は熱気に包まれた。
新しいオリジナル曲。
ライブでは定番となった代表曲。
そしてアンコールまで、五人は全力で演奏を続けた。
最後の音が鳴り終わると、会場中から温かな拍手が送られる。
「ありがとうございました!」
五人は深く一礼した。
◇
終演後。
物販スペースでは、初めて会うファンとの会話が続いていた。
「またこの街に来てください!」
「次のツアーも待っています!」
その言葉を受け、メンバーの表情は自然と笑顔になる。
少し離れた場所からその様子を見ていたユウキは、小さく拍手を送った。
「いいライブだった。」
するとイノリが駆け寄ってくる。
「ユウキさん、来てくださっていたんですね。」
「初日は見届けたかったから。」
「ありがとうございます。」
イノリは嬉しそうに笑う。
「初めての街で不安もありましたけど、お客さんの笑顔を見たら緊張がなくなりました。」
「その経験が、きっと次のステージにつながる。」
ユウキの言葉に、イノリは力強く頷いた。
◇
ホテルへ戻る前、会場近くの川沿いを二人で少し歩いた。
街の灯りが水面に映り、穏やかな夜風が吹いている。
「今日の景色、忘れられないと思います。」
イノリが静かに言う。
「東京を離れても、応援してくれる人がいるって実感できました。」
「音楽は距離を越えて届くんだね。」
「はい。」
イノリは微笑んだ。
「このツアーで、もっとたくさんの人に私たちの音楽を届けたいです。」
ユウキも笑顔で応えた。
「その旅の始まりとして、最高の一日だった。」
初日の成功を胸に、Luminous Fiveの全国ツアーは次の街へ向かって走り始める。
そしてユウキもまた、彼女たちの挑戦を見守りながら、自らの夢へ向かって歩みを止めることはなかった。




