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第3期 第1話 新しい航路

挿絵(By みてみん)


年が明け、春。


「NEXT RISE FESTIVAL」は、インディーズアーティストの間で知られるイベントへと成長していた。


「社長、今年は海外からも問い合わせが来ています。」


スタッフが一通のメールを印刷して持ってくる。


「海外から?」


ユウキは少し驚いた表情で資料を受け取った。


「日本のインディーズシーンに興味がある音楽メディアからです。取材も希望されています。」


「そこまで広がったんだな……。」


最初は小さな挑戦だった。


今では、少しずつ音楽業界の中で存在感を持ち始めている。


「今年はさらに気を引き締めよう。」


ユウキはスタッフたちへ向けて微笑んだ。


「イベントを大きくすることより、出演者に『出て良かった』と思ってもらえることを忘れないように。」


「はい!」


会議室には力強い返事が響いた。



その日の午後。


Luminous Fiveの五人が事務所を訪れる。


「こんにちは!」


アヤネは以前よりも堂々とした笑顔を見せる。


「今日はいい報告があります!」


「何だろう。」


ユウキが笑顔で迎えると、ミユキが嬉しそうに一枚のチラシを差し出した。


「見てください!」


そこには、


**『Luminous Five 全国ライブツアー 決定』**


という文字が大きく書かれていた。


「全国ツアー?」


ユウキは目を丸くする。


「おめでとう!」


「ありがとうございます!」


五人は一斉に頭を下げた。


マアヤが照れながら話し始める。


「まだ五都市だけなんですけど……。」


「それでも、私たちには大きな挑戦です。」


アグリも静かに頷いた。


イノリは穏やかな表情で続ける。


「初めて行く街ばかりなので、不安もあります。でも、それ以上に楽しみなんです。」


「その気持ちがあれば大丈夫。」


ユウキは心からそう思った。



打ち合わせでは、ツアー中のスケジュールやイベント出演について話し合われた。


「途中で地方フェスとも日程が重なるかもしれません。」


ユウキがカレンダーを広げる。


「移動時間も考えて、無理のない予定を組もう。」


「ありがとうございます。」


アヤネが真剣な表情でメモを取る。


「前みたいに勢いだけで走るんじゃなくて、長く活動できるようにしたいです。」


「その考え方は大事だ。」


ユウキは頷いた。


「夢は、一日で叶えるものじゃないからね。」



打ち合わせが終わると、イノリがユウキに声をかけた。


「少しだけ、お時間ありますか?」


二人は会社近くの公園を歩く。


桜が少しずつ咲き始め、春の風が心地よく吹いていた。


「全国ツアー、おめでとう。」


「ありがとうございます。」


イノリは花びらが舞う空を見上げる。


「最初にライブハウスで演奏していた頃は、こんな日が来るなんて想像できませんでした。」


「積み重ねてきた結果だね。」


「でも。」


イノリは少し笑う。


「ゴールじゃありません。」


「うん。」


「もっと大きな会場で演奏したいですし、もっとたくさんの人に私たちの音楽を届けたい。」


その瞳は、初めて会った頃よりもずっと力強かった。


ユウキは穏やかに答える。


「その夢を、これからも応援してる。」


イノリは小さく会釈した。


「ありがとうございます。」



夕暮れ。


ユウキは会社の窓から街を見下ろしていた。


イベントも、新しい事業も、順調に動き始めている。


そしてLuminous Fiveは、全国という新しい舞台へ踏み出そうとしていた。


それぞれの夢は、少しずつ形を変えながら前へ進んでいく。


新しい出会い。


新しい街。


新しいステージ。


第三章は、さらに広い世界を目指す旅の始まりだった。


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