第2期 第10話 初めてのミュージックビデオ
秋の風が少しずつ涼しくなり始めた頃。
Luminous Fiveは都内の映像制作スタジオを訪れていた。
「今日はよろしくお願いします!」
アヤネがスタッフへ元気よく挨拶する。
今日は、自分たちで制作したオリジナル曲のミュージックビデオを撮影する日だった。
「MVなんて初めてだから緊張する……。」
ミユキが苦笑すると、マアヤも頷く。
「ライブなら慣れてるけど、カメラを意識すると難しいね。」
イノリは静かにステージセットを見回していた。
シンプルな白いスタジオ。
スポットライト。
何台ものカメラ。
「この映像を見て、ライブへ来てくれる人が増えたら嬉しいですね。」
その言葉に、アグリも笑顔で頷いた。
◇
今回の撮影には、ユウキも制作協力という形で立ち会っていた。
「ユウキさん!」
五人が笑顔で手を振る。
「今日は応援に来たよ。」
「ありがとうございます!」
撮影監督が全体説明を始める。
「まずは演奏シーンから撮影します。」
「その後、メンバーそれぞれのソロカットを撮ります。」
五人は真剣な表情で説明を聞いていた。
◇
「本番、お願いします!」
カメラが回り始める。
イントロが流れる。
ライブとは違い、何度も同じ演奏を繰り返す。
「もう一度お願いします。」
「今度はギターをアップで。」
「次はボーカルを中心に。」
最初はぎこちなかった五人も、撮影が進むにつれて自然な笑顔を見せるようになった。
「いい感じです!」
監督の声に、現場が少し和らぐ。
休憩時間。
ユウキが飲み物を差し入れる。
「お疲れさま。」
「ありがとうございます。」
イノリはペットボトルを受け取りながら微笑んだ。
「ライブとは全然違いますね。」
「映像作品は細かい積み重ねだからね。」
「勉強になります。」
◇
夕方。
最後のシーンを撮り終える。
「オールアップです!」
スタッフの拍手がスタジオに響いた。
五人も思わず顔を見合わせる。
「終わった!」
ミユキが大きく伸びをする。
「長かったね。」
アヤネも笑顔だ。
監督が近づいてきた。
「皆さん、お疲れさまでした。」
「完成は三週間後になります。」
「楽しみにしています!」
五人は一斉に頭を下げた。
◇
撮影を終えた帰り道。
ユウキとイノリは最寄り駅まで歩いていた。
「今日は新鮮な経験でした。」
イノリが夕焼け空を見上げる。
「ライブでは伝えられない表情も、映像なら残せますね。」
「きっと新しいファンにも届くよ。」
ユウキは穏やかに答えた。
「そうなるように頑張ります。」
イノリは小さく拳を握る。
「ライブだけじゃなく、いろんな形で私たちを知ってもらいたい。」
その言葉に、ユウキは笑顔で頷いた。
「夢は、一歩ずつ形になっている。」
イノリも笑った。
「はい。」
夜空には、少しずつ秋の星が輝き始めていた。
初めてのミュージックビデオ。
それはLuminous Fiveにとって、新しい未来へ向かう大きな挑戦となる。
そしてユウキもまた、その挑戦を一番近くで見守る応援者として、彼女たちと歩み続けるのだった。




