第2期 第7話 満員の景色
「NEXT RISE FESTIVAL」当日。
午前九時。
開場一時間前にもかかわらず、会場の入口には長い列ができていた。
「去年よりすごい人ですね……。」
スタッフが驚いたように外を見つめる。
ユウキもモニターに映る入場待機列を見て、小さく息を吐いた。
「ありがたいな。」
同時に、気持ちが引き締まる。
この日を楽しみにしてくれた人が、それだけいるということなのだから。
◇
控室。
Luminous Fiveの五人は本番衣装に身を包み、最終確認をしていた。
「イヤモニ、大丈夫?」
「うん。」
「ギターのチューニングも問題なし。」
マアヤが弦を軽く鳴らす。
ミユキはドラムスティックを握り直し、アグリは深呼吸を繰り返していた。
アヤネが全員を見回す。
「今日も、私たちらしいライブをしよう。」
「うん!」
四人が力強くうなずく。
そのとき、控室のドアがノックされた。
「入るよ。」
ユウキだった。
「みんな、準備はどう?」
「ばっちりです!」
ミユキが笑顔で答える。
ユウキは五人をゆっくり見渡した。
「緊張している人もいると思う。でも、その緊張はここまで頑張ってきた証拠だ。」
静かな声で続ける。
「今日のステージを、一番楽しんできて。」
五人は笑顔で返事をした。
「はい!」
◇
午後二時。
「続いては、Luminous Five!」
スポットライトがステージを照らす。
大きな歓声が響き渡った。
アヤネがマイクを握る。
「皆さん、こんにちは!」
観客席から拍手が返ってくる。
イントロが流れ始める。
ミユキのドラム。
イノリのベース。
マアヤのギター。
アグリのキーボード。
そしてアヤネの歌声。
音が重なった瞬間、会場の空気が一つになった。
以前よりも落ち着いている。
客席を見渡す余裕もある。
演奏の合間には笑顔を交わし、自然とアイコンタクトも増えていた。
最後の曲が終わると、客席いっぱいの拍手が響く。
「ありがとうございました!」
五人は深く一礼した。
◇
ステージ袖。
ユウキは自然と拍手を送っていた。
「成長したな……。」
初めてライブハウスで見た頃とは別人のようだった。
技術だけではない。
観客へ音楽を届けるという意識が、演奏から伝わってくる。
その姿に、主催者としてだけでなく、一人の応援者として胸が熱くなった。
◇
ライブ後の物販スペース。
「今日のライブ、最高でした!」
「また次も絶対来ます!」
ファンが次々と声をかける。
アヤネたちは一人ひとりに笑顔で応え、感謝を伝えていた。
少し離れた場所から見ていたユウキの隣に、イノリがやってくる。
「ユウキさん。」
「お疲れさま。」
「今日は、本当に楽しかったです。」
イノリは穏やかに微笑んだ。
「こんなにたくさんのお客さんの前で演奏できるなんて、少し前までは想像もできませんでした。」
「それだけ努力してきた結果だよ。」
「まだまだです。」
イノリは首を横に振る。
「でも、もっと頑張ろうって思えました。」
その瞳には、新しい目標へ向かう意志が宿っていた。
ユウキは笑顔でうなずく。
「その気持ちがあれば、きっともっと遠くまで行ける。」
イベントは大成功のまま幕を閉じた。
しかし、それは終わりではない。
ユウキにとっても、Luminous Fiveにとっても、夢へ向かう道はまだ始まったばかりだった。




