表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/65

第2話 イベントへの招待

挿絵(By みてみん)


ライブから三日後。


ユウキは自社の会議室で、音楽イベントの企画書を見直していた。


イベント名は――


「NEXT RISE FESTIVAL」


まだ世に知られていないアーティストに、大きなステージへ立つ機会を提供することを目的としたライブイベントだ。


「出演者にも、お客さんにも、『また来たい』と思ってもらえるイベントにしたいな」


利益だけを追うつもりはなかった。


音楽業界に新しい風を吹かせる。


そんな思いも、この企画には込められていた。


その日の午後。


Luminous Fiveの五人が、ユウキの会社を訪れた。


「本日はよろしくお願いします!」


先頭で挨拶したのはボーカルのアヤネ。


元気いっぱいの笑顔は、ステージの上と変わらない。


ギターのマアヤは周囲を見渡しながら、


「すごい会社ですね……」


と感心した様子だ。


ドラムのミユキは、


「受付から緊張しちゃった!」


と苦笑している。


キーボードのアグリは静かに会釈をし、


最後にベースのイノリが落ち着いた口調で言った。


「本日はお時間をいただきありがとうございます。」


五人とも礼儀正しかった。


地下ライブハウスで見た印象以上に、真面目なグループなのだとユウキは感じた。


「こちらこそ来てくれてありがとう。」


ユウキはプロジェクターに企画資料を映した。


「イベントは二か月後。出演者は十組ほどを予定しています。ジャンルは自由ですが、オリジナル曲を持っているアーティストを中心に考えています。」


五人は真剣な表情で資料を見つめる。


「出演料もお支払いしますし、映像収録も行います。出演者には後日ライブ映像もお渡しします。」


「えっ、本当に?」


ミユキが思わず声を上げる。


地下ライブでは、自分たちの演奏映像すら残らないことも珍しくない。


この条件は破格だった。


「私たち、本当に出演していいんですか?」


アヤネが少し不安そうに尋ねる。


「もちろん。」


ユウキは迷いなくうなずく。


「この前のライブを見て決めたんだ。皆さんの演奏には、人を引きつける力がある。」


その言葉に、五人は顔を見合わせた。


「ありがとうございます!」


アヤネが頭を下げると、他の四人も続く。


その姿に、ユウキは自然と笑みを浮かべた。



打ち合わせが終わる頃には、夕方になっていた。


会社を出る前、イノリが資料を丁寧にファイルへしまいながら声をかける。


「今日のお話、とても勉強になりました。」


「そう言ってもらえると嬉しいよ。」


「イベント運営って、出演者だけじゃなくて照明や音響、スタッフの方まで含めて考えられているんですね。」


「みんなが安心して演奏できる場所を作りたいから。」


ユウキがそう答えると、イノリは少しだけ微笑んだ。


「素敵な考え方ですね。」


ほんの数秒の会話だった。


それでも、お互いの距離が少しだけ縮まったような気がした。



五人を見送ったあと。


ユウキは窓の外を眺めながらつぶやく。


「まずはイベントを成功させよう。」


出演者として信頼してもらうこと。


観客に楽しんでもらうこと。


その積み重ねが、きっと新しい縁につながっていく。


そう信じて、ユウキは再び企画書へ視線を戻した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ