第2期 第5話 広がる縁
地方フェスから一週間。
Luminous Fiveの公式SNSには、フェスで撮影された写真や感想が次々と投稿されていた。
「このバンド、初めて聴いたけど好きになった」
「次のライブも行きます!」
そんなコメントを見ながら、アヤネは思わず笑みをこぼす。
「少しずつだけど、応援してくれる人が増えてるね。」
「嬉しいね。」
マアヤもスマートフォンをのぞき込みながら頷いた。
イノリは静かに画面を閉じる。
「でも、ここで満足しちゃいけないね。」
その一言に、メンバー全員が力強く頷いた。
◇
同じ頃。
ユウキの会社では、「NEXT RISE FESTIVAL」の準備が本格化していた。
会議室にはスタッフが集まり、タイムスケジュールや出演者リストが並べられている。
「今年は遠方から来るアーティストも多いですね。」
「宿泊や移動の手配も確認しておこう。」
ユウキは資料に目を通しながら答えた。
「出演者が安心して演奏できる環境を整えるのも、主催者の仕事だから。」
スタッフたちは真剣な表情でメモを取っていく。
◇
数日後。
ユウキはLuminous Fiveを事務所へ招き、イベントの最終打ち合わせを行っていた。
「今年は出演者同士の交流スペースも用意します。」
スクリーンには会場の見取り図が映し出される。
「それなら他のバンドとも話しやすそうですね。」
アグリが感心したように言う。
「楽屋も広くなっていますし、導線も改善しました。」
ユウキが説明を続けると、マアヤが手を挙げた。
「演奏後に物販へ移動しやすい動線になってますね。」
「前回の反省を生かしたんだ。」
「出演者目線で考えてくれているのが伝わります。」
イノリの言葉に、ユウキは照れくさそうに笑った。
「みんなの意見を取り入れた結果だよ。」
◇
打ち合わせが終わると、自然と雑談が始まった。
「そういえば。」
ミユキがテーブルの上の資料を見ながら尋ねる。
「ユウキさんって、休日はちゃんと休めてるんですか?」
「最近は少し意識して休むようにしてるよ。」
「前は違ったんですか?」
アヤネが興味津々で聞く。
「会社を立ち上げた頃は、仕事ばかりだった。」
ユウキは苦笑した。
「休むのが怖かったんだ。」
「今は?」
イノリが静かに尋ねる。
「今は、仕事を続けるためにも休息は必要だと思えるようになった。」
「大事なことですね。」
イノリは穏やかに微笑んだ。
◇
帰り道。
イノリはユウキと駅まで並んで歩いていた。
「今日の打ち合わせで、イベントがますます楽しみになりました。」
「今年は去年以上に忙しくなりそうだけどね。」
「忙しくても、きっと楽しい一日になります。」
イノリはそう言って空を見上げた。
夕焼けが街を優しく染めている。
「ユウキさん。」
「うん?」
「このイベントが終わったら、みんなでお疲れさま会をしませんか?」
「いいね。」
ユウキは笑顔で頷いた。
「出演者もスタッフも、みんなで成功を喜べる会にしよう。」
「約束ですよ。」
「約束。」
二人は笑顔を交わし、それぞれの改札へ向かった。
イベント本番まで、あと二週間。
それぞれが自分の役割を胸に、最高の一日を目指して準備を続けるのだった。




