第2期 第4話 地方フェスへの挑戦
六月の青空が広がる朝。
Luminous Fiveは、地方都市で開催される音楽フェスの会場に到着していた。
野外ステージ。
色とりどりのテント。
飲食ブースから漂う香り。
これまで出演してきたライブハウスとはまったく違う空気に、五人の表情には期待と緊張が入り混じっていた。
「すごい……。」
アグリが会場を見回しながら小さくつぶやく。
「こんな大きなイベントに出られるなんて。」
ミユキは両手を握りしめた。
「今日は絶対に成功させよう!」
アヤネが振り返る。
「みんな、楽しもう!」
「うん!」
四人が力強く頷いた。
◇
一方その頃。
ユウキも会場を訪れていた。
今回は主催者ではなく、一人の観客として五人のステージを見届けるためだ。
「ユウキさん!」
イノリが控室の前で気付き、軽く手を振る。
「来てくださったんですね。」
「約束したからね。」
ユウキは笑顔で答える。
「今日は思い切り楽しんでおいで。」
「はい。」
イノリは少し緊張した表情を浮かべながらも、大きく頷いた。
◇
午後一時。
Luminous Fiveの出番が始まる。
客席には、偶然立ち寄った人もいれば、彼女たちを目当てに集まったファンの姿もあった。
「こんにちは! Luminous Fiveです!」
アヤネの元気な声が会場に響く。
一曲目から会場は手拍子に包まれる。
マアヤのギターが軽快に響き、
イノリのベースが力強く支え、
アグリのキーボードが優しい旋律を重ね、
ミユキのドラムが会場全体を盛り上げる。
演奏を重ねるごとに、足を止めて聴く人が増えていった。
最後の曲が終わると、大きな拍手が湧き起こる。
「ありがとうございました!」
五人は笑顔で深く頭を下げた。
◇
ライブ終了後。
物販スペースには思っていた以上の人が集まっていた。
「ライブ、初めて見ました!」
「また次も行きます!」
そんな言葉を受け取りながら、五人は一人ひとりに丁寧に感謝を伝えていく。
少し離れた場所からその様子を見ていたユウキは、自然と笑みを浮かべた。
「ファンとの時間も大切にしているんだな。」
誠実な姿勢が、少しずつ応援の輪を広げているのだと感じた。
◇
夕方。
イベントが終わり、会場近くの公園で少し休憩を取る。
「今日は楽しかったですね。」
イノリがベンチに腰掛けながら言う。
「途中から、お客さんがどんどん増えていった。」
「演奏に引き込まれたんだろうね。」
ユウキが答えると、イノリは少し照れたように笑う。
「そうだったら嬉しいです。」
しばらく沈黙が流れる。
風に揺れる木々の音だけが耳に届く。
「ユウキさん。」
「ん?」
「私たち、もっと頑張ります。」
イノリはまっすぐ前を見つめる。
「次にお会いするときは、『また成長したね』って言ってもらえるように。」
ユウキは静かに頷いた。
「楽しみにしてる。」
その一言だけで十分だった。
努力は、すぐに結果が出るとは限らない。
それでも、一歩ずつ積み重ねていけば、昨日より少しだけ遠くへ進める。
夕焼けに染まる空の下、ユウキとLuminous Fiveは、それぞれの夢へ向かう足取りを、確かめるように歩き続けるのだった。




