表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/65

第2期 第3話 それぞれの夢

挿絵(By みてみん)



「社長、こちらが今年の応募リストです。」


スタッフから受け取ったファイルは、昨年の倍以上の厚みがあった。


全国各地から寄せられた出演希望。


バンド、シンガーソングライター、ダンスボーカルユニット――。


「こんなに増えたんですね。」


ユウキは感慨深げにページをめくる。


「少しずつイベントが認知されてきた証拠です。」


スタッフの言葉に、ユウキは静かにうなずいた。


「期待してくれる人がいるなら、その期待に応えないとな。」



その日の夕方。


Luminous Fiveは都内のライブハウスでライブを行っていた。


ユウキも仕事を終え、客席の後方から静かに見守る。


以前は数十人だった観客席も、今ではかなり埋まっている。


演奏が終わると、大きな拍手が会場を包んだ。


「ありがとうございました!」


アヤネが笑顔で手を振る。


ライブ終了後、楽屋へ顔を出すと、五人は充実した表情を浮かべていた。


「今日も盛り上がりましたね!」


ミユキが汗を拭きながら笑う。


「新曲の反応も良かったです。」


アグリもほっとした様子だ。


マアヤはギターケースを閉じながら言う。


「少しずつだけど、お客さんに名前を覚えてもらえてる気がします。」


ユウキは自然と笑みを浮かべた。


「努力はちゃんと届いているんだね。」



ライブハウスを出ると、夜風が心地よかった。


「ユウキさん。」


イノリが隣に並ぶ。


「少しだけ歩きませんか?」


「もちろん。」


駅へ向かう道を二人でゆっくり歩く。


「最近、バンドのことで考える時間が増えました。」


イノリは夜空を見上げた。


「もっといい演奏をしたいとか、もっと多くの人に聴いてほしいとか。」


「夢が大きくなってきたんだね。」


「はい。」


少し照れながら笑う。


「でも、焦らず一歩ずつ進もうと思っています。」


「その考え方は大事だよ。」


ユウキは穏やかに答える。


「長く続けるには、無理をしすぎないことも必要だから。」


「ユウキさんは、会社を続けてきて一番大切だと思ったことは何ですか?」


少し考えた後、ユウキは答えた。


「信頼かな。」


「信頼?」


「社員や取引先、お客さん。どんな仕事も最後は人との信頼で成り立つ。」


イノリは静かにうなずく。


「バンドも同じですね。」


「五人がお互いを信じているから、あんな演奏ができる。」


その言葉に、イノリは少し照れたように笑った。


「そう言ってもらえると嬉しいです。」



駅に着く直前、イノリが立ち止まる。


「そうだ。」


バッグから一枚のチラシを取り出した。


「来月、地域の音楽フェスに出演することが決まったんです。」


ユウキはチラシを受け取り、目を通す。


「おめでとう。」


「ありがとうございます。」


イノリの表情は明るかった。


「まだ昼の小さなステージですけど、こういう機会を一つずつ大切にしたいと思っています。」


「その積み重ねが、きっと次につながる。」


「はい。」


二人は笑顔でうなずき合う。


夢は、突然叶うものではない。


小さな一歩を積み重ね、その先に少しずつ近づいていくものだ。


ユウキも、Luminous Fiveも。


それぞれの夢を胸に、新しいステージへ向かって歩き続けるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ