第2期 第2話 新しい会場、新しい可能性
休日の朝。
ユウキは郊外に新しく完成したライブホールの前に立っていた。
ガラス張りのエントランスに、広々としたロビー。
これまで使用してきたライブハウスとは違い、数百人規模の観客を収容できる会場だった。
「ここなら、もっとたくさんの人に音楽を届けられるかもしれない。」
そんなことを考えていると、遠くから元気な声が聞こえた。
「ユウキさん、お待たせしました!」
先頭を歩いてきたのはアヤネ。
続いてマアヤ、イノリ、アグリ、ミユキが姿を見せる。
「皆さん、今日はよろしくお願いします。」
イノリが穏やかに頭を下げる。
「こちらこそ。今日は出演者目線で気づいたことを、どんどん教えてほしい。」
「任せてください!」
ミユキが胸を張ると、その場に笑いが広がった。
◇
会場スタッフの案内で、ステージへ向かう。
客席から見るステージは十分な広さがあり、照明設備も充実していた。
「すごい……。」
アグリが思わず声を漏らす。
「こんなステージで演奏できたら気持ちいいでしょうね。」
マアヤはギターを構える真似をしながら立ち位置を確認している。
一方、イノリはステージから客席をじっと見つめていた。
「どうした?」
ユウキが声をかける。
「一番後ろの席でも、出演者の表情が見えそうですね。」
「そこは会場選びでこだわったところなんだ。」
「素敵です。」
イノリは小さく笑った。
「演奏する側も、お客さんの反応が見えやすそうです。」
ユウキはメモを取りながら頷く。
「他にも気づいたことがあれば教えて。」
「楽屋からステージまでの動線が短いですね。」
「それなら本番前の移動も安心できます。」
五人は次々と意見を出していく。
どれも実際にライブを経験しているからこその視点だった。
◇
見学を終えたあと、一行は近くのカフェへ入った。
「今日は勉強になりました。」
アヤネがアイスティーを口にする。
「私たちも、いつかこういうホールでワンマンライブができるようになりたいです。」
「きっとできる。」
ユウキは自然な口調で答えた。
「今のみんななら、その目標に向かって進んでいけるよ。」
「ありがとうございます。」
その言葉に、五人は励まされたような表情を浮かべる。
ミユキがふと尋ねた。
「ユウキさんは、次の目標って何ですか?」
少し考えたあと、ユウキは答えた。
「全国から『このイベントに出たい』と思ってもらえるフェスを作ることかな。」
「じゃあ、私たちも出演し続けられるように頑張らないと。」
マアヤが笑う。
「でも、その前にもっと実力をつけないとね。」
イノリも静かに頷いた。
「応援してくれる人を増やして、もっと胸を張ってステージに立てるようになりたいです。」
◇
帰り道。
駅までの道を歩きながら、イノリがぽつりと話しかける。
「今日、ユウキさんの仕事を少し近くで見られて良かったです。」
「そう?」
「イベントって、ただ会場を借りればできるものじゃないんですね。」
「たくさんの人が支えてくれて、ようやく一つの舞台になる。」
「ライブも同じですね。」
二人は顔を見合わせて笑う。
出演者と主催者。
立場は違っても、目指しているものは同じだった。
春の夕暮れの中、二人は次のステージに向けた夢を語り合いながら、ゆっくりと駅への道を歩いていった。




