第13話 夢の続きを
Luminous Five初のワンマンライブ当日。
会場前には、開場を待つファンの列ができていた。
「思った以上に人が多いな……」
ユウキは会場の外からその光景を見つめ、小さく笑みを浮かべた。
数か月前。
初めて彼女たちを見たライブハウスでは、客席は決して満員ではなかった。
それが今では、開場前から期待に満ちた空気が流れている。
五人が積み重ねてきた努力は、確かに実を結び始めていた。
◇
開演十分前。
控室では五人が円陣を組んでいた。
「ここまで来られたね。」
アヤネが静かに口を開く。
「途中で諦めそうになったこともあった。」
マアヤがうなずく。
「ライブのお客さんが数人しかいない日もあったよね。」
「それでも続けてきた。」
ミユキが笑う。
「今日、この景色を見られるんだから。」
イノリはメンバー一人ひとりの顔を見渡した。
「今日という日はゴールじゃない。」
「私たちの新しいスタートにしよう。」
「うん!」
五人の声が重なった。
◇
客席の照明が落ちる。
大きな歓声が響く。
ステージ中央へ歩み出たアヤネが、マイクを握る。
「今日は来てくださって、本当にありがとうございます!」
会場いっぱいの拍手。
一曲目が始まる。
勢いのあるロックナンバー。
続いてバラード。
そして、イベントで披露した代表曲。
観客の手拍子が会場を包み込み、五人の演奏はこれまでで一番の一体感を見せていた。
客席後方から見守るユウキは、胸が熱くなるのを感じていた。
(本当に、大きくなったな。)
◇
アンコール。
アヤネがマイクを持つ。
「最後に、私たちには感謝を伝えたい人がいます。」
メンバー全員がうなずく。
「私たちが前へ進むきっかけをくれた人。」
「夢を応援してくれた人。」
「イベントで新しい景色を見せてくれた人。」
アヤネは客席の後方へ視線を向けた。
「ユウキさん、本当にありがとうございました。」
突然の言葉に、客席から温かな拍手が起こる。
ユウキは少し照れながら立ち上がり、軽く一礼した。
主役は彼女たちだ。
だから、それ以上前へ出ることはしない。
ただ、一人の応援者として拍手を送り続けた。
◇
ライブ終了後。
控室では五人が涙ぐみながら笑っていた。
「終わっちゃったね。」
ミユキが目元をぬぐう。
「でも、最高だった。」
アグリも笑顔を見せる。
そこへユウキが入ってきた。
「お疲れさま。」
五人が一斉に振り向く。
「今日は本当に素晴らしいライブだった。」
「ありがとうございます!」
アヤネが深く頭を下げる。
「皆さんのおかげです。」
ユウキは首を横に振る。
「違うよ。」
「今日、このステージを作ったのは、みんな自身だ。」
その一言に、五人の表情がほころぶ。
イノリが一歩前へ出た。
「これからも、私たちはもっと上を目指します。」
「ライブハウスだけじゃなく、もっと大きなステージへ。」
「その夢、応援してる。」
ユウキは笑顔で答えた。
「そして僕も、もっとたくさんのアーティストが輝けるイベントを作り続ける。」
互いに目指す夢は違う。
それでも、その夢はどこかでつながっている。
◇
会場を出ると、夜空には満天の星が広がっていた。
初めて出会った小さなライブハウス。
そこから始まった一つの縁は、多くの人を笑顔にする舞台へとつながっていった。
ユウキは夜空を見上げ、小さくつぶやく。
「ここからが、本当のスタートだ。」
新しいイベント。
新しい挑戦。
そして、新しい物語。
こうして、ユウキとLuminous Fiveの第一章は幕を閉じる。
だが、彼らの夢は、まだ始まったばかりだった。
第1期・完。




