第11話 広がり始める未来
第二回「NEXT RISE FESTIVAL」が終わってから数日。
イベントの反響は、ユウキの予想を上回っていた。
SNSには出演アーティストの感想が並び、来場者からは「次回も開催してほしい」という声が数多く寄せられていた。
会社の会議室では、スタッフたちも笑顔を見せている。
「社長、スポンサー企業から連絡です。」
「来年も協賛を前向きに検討したいそうです。」
「本当か?」
ユウキは思わず立ち上がった。
一度目は挑戦。
二度目は実績。
そして三度目は、イベントとして定着するかどうかの大切な節目になる。
「よし。」
ユウキは資料を閉じた。
「もっと良いイベントを作ろう。」
◇
その週末。
Luminous Fiveはライブハウスで定期公演を行っていた。
ユウキも仕事を終え、客席の後方から静かにステージを見守る。
以前より観客が増えている。
最前列では新しいファンがペンライトを振り、曲に合わせて声援を送っていた。
「みんな、ありがとう!」
アヤネの笑顔も以前より自信に満ちている。
ライブ終了後、楽屋で五人と合流した。
「ユウキさん!」
ミユキが駆け寄る。
「今日も来てくれたんですね!」
「仕事が早く終わったからね。」
「最近、お客さんが本当に増えたんですよ!」
アヤネが嬉しそうに話す。
「イベントで知ってくださった方が、またライブに来てくれて。」
「努力が実ってきた証拠だね。」
ユウキの言葉に、五人はうれしそうに顔を見合わせた。
◇
ライブハウスを出る頃には、夜風が心地よく吹いていた。
「ユウキさん。」
イノリが声をかける。
「少し歩きませんか?」
二人は駅までの道をゆっくり歩き始めた。
「最近、毎日があっという間です。」
イノリが空を見上げる。
「ライブも増えて、練習も忙しくて。」
「充実しているんだね。」
「はい。」
少し照れたように笑う。
「でも、不思議なんです。」
「何が?」
「忙しいのに、前みたいな不安はあまり感じなくなりました。」
ユウキは静かに耳を傾ける。
「前へ進んでいるって思えるから。」
その一言に、ユウキは自然と笑みを浮かべた。
「それなら良かった。」
「ユウキさんは?」
「僕?」
「最近、何か変わりましたか?」
少し考えてから答える。
「仕事は相変わらず忙しい。でも。」
イノリを見る。
「音楽に触れる時間が増えて、休日を楽しめるようになったかな。」
「ふふ。」
イノリは優しく笑う。
「それ、私たちのおかげですか?」
「そうかもしれない。」
「嬉しいです。」
◇
駅前の広場。
別れ際、イノリがバッグから小さな封筒を取り出した。
「これ。」
「ん?」
「来月、私たちのワンマンライブを開催することになりました。」
中にはライブのチケットが入っている。
「ぜひ来ていただけたら。」
ユウキはチケットを受け取り、うれしそうに頷いた。
「もちろん行くよ。」
「ありがとうございます。」
イノリは安心したように微笑んだ。
「今度は、私たち自身の力で満員の景色を目指します。」
その瞳には、以前にはなかった強い意志が宿っていた。
ユウキもまた、その挑戦を心から応援したいと思う。
仕事から始まった縁は、互いの夢を支え合う大切な関係へと変わり始めていた。
そして、Luminous Fiveの新たな挑戦も、静かに幕を開けようとしていた。




