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第10話 もう一つのステージへ

挿絵(By みてみん)


第二回「NEXT RISE FESTIVAL」当日。


朝七時。


会場にはすでにスタッフが集まり、設営が始まっていた。


「照明チェック、完了です!」


「音響も問題ありません!」


無線から次々と報告が入る。


ユウキは会場全体を歩き回り、一つひとつ確認していく。


前回よりも規模は大きい。


出演アーティストは十五組。


観客も前回の倍以上が来場予定だった。


「社長、緊張してます?」


スタッフが笑いながら尋ねる。


「少しね。」


ユウキも苦笑する。


「成功させたいイベントだから。」



開場一時間前。


Luminous Fiveの控室を訪れると、五人は円陣を組んでいた。


「今日は最高のライブにしよう!」


アヤネの声に、


「おー!」


四人が元気よく応える。


その姿を見たユウキは自然と笑みがこぼれた。


「みんな。」


五人が振り向く。


「今日を楽しんできて。」


「はい!」


「ありがとうございます!」


イノリが一歩前へ出る。


「ユウキさん。」


「ん?」


「ここまで来られたのは、このイベントがあったからです。」


「それは違う。」


ユウキは首を横に振る。


「ここまで来たのは、みんなが努力したからだ。」


イノリは静かにうなずいた。


「……そう言ってもらえると嬉しいです。」



午後三時。


「続いての出演は――Luminous Five!」


大きな歓声が会場を包む。


前回より広いステージ。


客席には多くの観客。


その中には、前回のイベントをきっかけにファンになった人たちの姿もあった。


イントロが流れる。


ミユキのドラム。


イノリのベース。


マアヤのギター。


アグリのキーボード。


そしてアヤネの歌声。


五人の音が一つになる。


以前よりも自信に満ちた演奏だった。


一曲終わるごとに拍手が大きくなる。


最後の曲が終わると、会場は温かな歓声に包まれた。


ステージ袖から見守っていたユウキは、小さく息をつく。


「よかった……。」


それは主催者としての安堵でもあり、彼女たちの成長を見届けた喜びでもあった。



イベント終了後。


出演者たちはロビーで来場者を見送り、スタッフも撤収作業に入る。


Luminous Fiveの五人も充実した表情だった。


「すごく楽しかった!」


ミユキが満面の笑みを浮かべる。


「前よりお客さんの反応が大きかったね。」


マアヤも嬉しそうだ。


「緊張したけど、演奏しているうちに楽しくなりました。」


アグリがほっとしたように笑う。


アヤネはユウキの前に立ち、深く頭を下げた。


「本当にありがとうございました。」


「こちらこそ。最高のステージだった。」


その言葉に、五人の表情が明るくなる。



帰り際。


イノリがユウキを呼び止めた。


「少しだけ、お時間ありますか?」


二人は会場の外へ出た。


夜風が火照った体に心地よい。


「今日のライブ、どうでしたか?」


「胸を張っていい出来だった。」


「そう言っていただけて安心しました。」


イノリは少し笑う。


「実は……。」


バッグから小さな封筒を取り出す。


「これ、皆で選んだんです。」


中にはイベントの写真と、五人からのメッセージカードが入っていた。


『素敵なステージをありがとうございました。』


『また一緒に音楽を届けたいです。』


ユウキは一枚一枚、ゆっくり目を通す。


「大切にするよ。」


「はい。」


イノリは少し照れながら言った。


「次は出演者としてだけじゃなく、もっとイベント作りにも協力できたら嬉しいです。」


ユウキはうなずく。


「ぜひお願いしたい。」


仕事を通じて築かれた信頼は、以前よりも確かなものになっていた。


そして、Luminous Fiveとユウキは、新しい目標へ向かって再び歩き始めるのだった。

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