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深淵の符呪師 ヨグソトースの息子  作者: ケロン藤野


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第22話 ダンジョン探索の準備


翌朝。


二郎は朝食を済ませると、作業部屋へ向かった。


テーブル型符呪台の上には、


投げナイフが二本。


スリングショット。


そして三本の**魔力電池シリンダー(極小)**が並べられている。


どのシリンダーも青白い光を放ち、十分な魔力を蓄えていた。


「始めるか。」


ダニッジが頷く。


『まずは投げナイフじゃな。』


二郎は一本目のナイフを符呪台へ固定する。


魔力シリンダーを接続。


符呪用の刻印ペンでゆっくりと魔力文字を書き込んでいく。


集中。


集中。


魔力が刃へ吸い込まれていく。


やがて文字が淡く輝き、刃へ溶け込んだ。


「よし。」


「一本目成功。」


続いて二本目。


こちらも慎重に刻印を施す。


「……できた。」


二本とも、


魔力捕縛の符呪


を施すことに成功した。


ダニッジが刃を眺める。


『初めてにしては悪くない。』


『出来はまあまあじゃな。』


『十回ほど魔物へ使えば魔力切れになる程度じゃろう。』


「十分だ。」


「雑魚相手なら問題ない。」


続いてスリングショットを符呪台へ置く。


今度は、


火炎の符呪。


これまでとは違う魔力文字を慎重に刻んでいく。


最後の一文字を書き終えた瞬間、


パチッ。


小さな火花が散った。


「成功か?」


『試してみよう。』


二郎は庭へ出る。


空き缶を並べ、鉄球を一発セットする。


スリングショットを引き絞る。


「いくぞ。」


ビュン!


放たれた鉄球は赤い炎をまといながら一直線に飛ぶ。


ドン!


空き缶が吹き飛び、周囲へ火花が散った。


「成功だ!」


『うむ。』


『火炎の符呪は問題なく発動しておる。』


二郎は何発か試し撃ちを行う。


炎をまとった鉄球が次々と標的を撃ち抜いていく。


十発。


二十発。


三十発。


四十発。


五十発。


そこで炎が消えた。


「魔力切れか。」


『五十発ほど撃てば空になるようじゃな。』


『十分実戦向きじゃ。』


二郎は満足そうに頷いた。


「これで武器は揃った。」



部屋へ戻ると、ダンジョン探索の準備を始める。


火かき棒(魔力捕縛付き)。


投げナイフ(二本・魔力捕縛)。


スリングショット。


スリング用鉄球三十発。


作業着。


パーカー。


丈夫な安全靴。


リュック。


ベルトポーチ。


水筒。


ペットボトルの水。


エネルギーバー。


チョコレート。


七十リットルの大型ゴミ袋を数枚。


小型ゴミ袋を数枚。


救急用品。


予備のロープ。


タオル。


探索者用腕輪情報端末。


一つずつ確認しながらリュックへ詰めていく。


忘れ物がないか、最後にもう一度点検した。


ダニッジが満足そうに頷く。


『初心者としては十分じゃ。』


『最初から欲張る必要はない。』


「まずは生きて帰ることが目標だ。」


『その通り。』


『ショゴススライム。』


『ジャイアントローチ。』


『まずはあやつらで魔力シリンダーを満たすことじゃ。』


「シリンダーをまた満タンにして……。」


「符呪武器をどんどん増やしていこう。」


『うむ。』


『武器が増えれば戦い方も増える。』


『それが探索者として強くなる一番の近道じゃ。』


二郎は背負ったリュックの重さを確かめる。


「よし。」


「いよいよ鑓水フィールドだ。」


探索者として初めての本格的なダンジョン探索が、いよいよ始まろうとしていた。

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