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七夕②

 軽トラックから、黄色や赤のビールケースを積み降ろしている男性(ひと)がいる。


 長良(ながら)隆俊(たかとし)さん。


 この施設出身。


 明るく染めた髪に、ピアス。

 見た目は、あんなだけど凄く優しいお兄ちゃんだった。


 施設の女の子達はみんな憧れてたんじゃなかろうか? 確か、同じ部屋だったあの子もメロメロだった。


 特設ステージに使うビールケースを毎年快く提供してくれる酒屋。そこに勤めている隆俊さんは折角染めた髪をタオルで隠し、濃い藍色の前掛け。白いシャツを肩まで捲りあげ、締まった腕を覗かせていた。


「隆俊君、毎年ありがとうね」


 施設のおばちゃんも、この時ばかりは一段高い声のトーン。照れたように笑う隆俊君の笑顔が眩しい。


 あれは三年前だったか……。綺麗な女の人を連れて、結婚の挨拶に来たのは。私たちに炭酸飲料のお土産まで携えて。


 施設の女の子達は「おめでとう」と口々に言いながらも、どこか落胆していた。


 相手は控えめな人で、騒がしい子供達に囲まれながらも、優しく微笑んでいたのが印象的。


 出会いは、隆俊君が配達中の事故で入院した先の看護師さんだったそうだ。


 ――悔しいけれど、お似合い。


 こうして、私の初恋とも言えぬ淡い憧れは炭酸の泡とともに弾けとんだ。

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