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七夕①
施設では、毎年七月七日の夕方に小さなお祭りを開く。
大規模なものでなく、近隣住民の方々や、普段から相互交流のある老人ホームの入居者を招くささやかなもの。
爽やかなラムネ。ソースや、甘いかき氷シロップの香りが辺りに漂う。商店街の世話好きなおじさん達のお酒の匂いも混じってるけど。
彼らは合間を盗み見て、缶ビールを片手に顔を赤らめている。奥さんらしき人に叱られながら、大粒の汗をかいてくれてる。
ビールケースを並べ、その上にベニヤ板を敷いた豪華特設ステージでは、カラオケ大会が開かれ、演歌や浪曲を披露し施設の幼い子達をぽかんとさせるのが、毎年の恒例行事。ちなみにみんな割と上手い。
敷地の端。ハナミズキに添えられるのは、色鮮やかな短冊を身につけた笹の葉。
この歳になって、短冊に願い事を書き記すのは気恥ずかしいが、私だけ拒否するわけにもいかず、結局今年も書いた。といっても昔から私は、願い事は変わらない。
来年は、願い事が見つかりますように。
半分冗談で、半分本当。
「何でもいいのに……」
施設の人を困らせてしまうのも、毎年恒例。そんな私だが、お祭りは毎年密かに心待ちにしている。これは本当のこと。




