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意地悪
「二百八円になります」
そう言って差し出された彼の手は、小さな切り傷でいっぱいだった。
硬貨を手渡す時に触れた指先。カサカサに乾燥し、とても高校生のものとは思えない。
夢のある、文字通り花に囲まれた華やかな仕事。
額に汗かき、前髪を張り付かせた彼の顔を見て、私は美しいと思ってしまった。
私と同じように非常階段へと、逃げ場を求める爪弾き者として。学校では見せないその姿に、羨望と少しの嫉妬を抱く。
だからなのか。からかってみたくなったのは。
意地悪をしたのは、私の精一杯の負け惜しみだったのかも知れない。




