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音の遠い部屋

 ベッドの正面にある、ローチェスト。

 随分と、年季のある代物だ。

 一番上の引き出しには、幾つものステッカーの跡。

 寄付してくれた人の名残なのか、施設(うち)に来てからなのかは、分からない。

 ローチェストの上には小さなテレビ。

 これも、寄付だと聞いている。

 だからなのか、リモコンはなかった。

 この部屋が私ともう一人。歳の近かった女の子と、二人部屋だった頃。

 お風呂から上がって、彼女が入れ替わりにお風呂へ向かう。

 扇風機で髪を乾かしながら、テレビの電源を入れて。確か、見たかったアニメの時間帯だった。

 大音量で空気を震わすテレビ。

 慌てて音量ボタンを押す。

 小さく開いた扉からニヤケながら覗く顔があった。


 ――彼女は、元気でいるだろうか?


 暫くして、彼女は優しそうな夫婦に引き取られていった。それからは、ひとりでこの部屋を贅沢に使わせてもらっているが、ふたつあったベッドはひとつになり、部屋が広く感じる。

 彼女の背中をみんなで見送って、その面影が薄くなってしまった、七年目の夏。


 この部屋の音は、少しだけ遠くなった。

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