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三月羅針譚~盾持ちと吸血鬼~  作者: FOXtale
悠久忘れぬ■■の景色
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頼れる?二人の助言

どうも、作者です。七十七話です。

「――今日は特に問題なかったですか?」


夜、俺たちはハイカさんと会っていた。俺は、情報収集と家探し。クランの方がエフィたちの装備品をバレンさんへの制作依頼を済ませ、皆で飯を食べた後だった。


今日の分の仕事を終えたハイカさんに、相談したいことがいくつかあったので会うことになった。


「あぁ、アイカがかなり頼りになったよ」


「私の自慢の妹ですから」


ハイカさんはいつもの数倍ぐらいいい笑顔(それでも、微笑むぐらいだが)をしながら、紅茶を一口飲んでいる。そんなにうれしいんだな。


実際アイカがいてくれて助かった。ダンジョンの情報収集の時もそうだったが、不動産屋での時も色々と動いてくれた。まぁ、あの時一番役に立ったのは、確実にハイカさんの名前だったのだが。おかげさまでかなり良い物件を紹介してもらった。


「こっちはまぁ、一個だけあったのう」


「マゼランが俺たちの正体を知ってた件だな」


それを聞いてハイカさんはお茶を吹きかける。やっぱりハイカさんも予想外だったか。


「もしかして、今回はそれに関して……」


「「いや、いったん無視することにした/のじゃ」」


ハイカさんは、鳩が豆鉄砲を喰らったかの如くきょとんとしていた。しかし、俺たちの言葉をゆっくり咀嚼したのか、段々ため息をつきながら口を開いた。


「……そうですね。正直彼女は得体が知れませんが、しかし考えるだけ無駄ですね。敵ではないと考えていいでしょうし、それに、彼女に関しては調査のしようがない」


ハイカさん的にもそういう考えなのか。実際、今のところ、彼女が敵である可能性は低い、と思う。アイカをさらった集団は、クランの正体を知らなかったし、そもそも迂闊に自分が疑われるような情報をバレンさんに渡しはしないだろう。


そしてハイカさんが言う通り、あの神出鬼没のマゼランの情報を得るのは難しいのだ。つまり後回しするしかない。


「それで、それ以外の相談というのは?」


「わしからじゃが、武器はともかく防具は何かあるのか?」


ハイカさんはそれを聞いて、紅茶を一口飲んで少し考えている。


「今の体格に合う装備は、最低限のものしか用意していませんでしたね」


ハイカさんは装備に関してはあんまり考えていなかったようである。まぁ、今まで装備は最低限でも良かったんだろうな。ハイカさんだし。


「それじゃ、それもバレン殿に頼んでおこう」


「そうですね、そうしてくれると助かります」


さて今度は俺の番である。俺は、ハイカさんにどのダンジョンを攻略すればいいか、というのを話す。三つあるダンジョンの情報を話しながら、俺たちのほうの意見も話す。


「なるほど、二人的には、難度の高いダンジョンに挑むかどうかで意見が分かれているのですね」


俺たちはうなずく。ハイカさんはひとしきりダンジョンの情報などを見た後、一度うなずいて話し始める。


「そうですね……私としては”百年ダンジョン”のほうでも、いけるとは思います。まぁ、こちらの方が危険性が高いのは同意しますが、私たち六人ならいけない難易度ではない」


ハイカさんは断言する。俺たちなら行けると。とはいえ、俺の懸念が完全に消えたわけではない。やはり危険性は高いのだ。


それに対して、クランは自信満々の顔をしている。”望むところじゃ”と。


「まぁ、ここに挑むなら、それ相応に私の方の”準備”も大変になりますが……選択は”団長と副団長”に任せますよ」


準備という言葉で、クランの顔が険しくなる。ここで言う準備とは、俺たちに対する訓練を厳しくするということと同義だろう。


だが、結局、選択は俺たち次第か。うーん、ハイカさんがここまで言うなら、大丈夫なのか? 俺としてはもう一押しほしいところだな。


「まぁ、まだまだいろいろと準備に時間がかかるでしょうから、あと数日は悩んでみてください」


「こいつを説得してみせようではないか!」


いつの間にか、クランが俺を説得できるのかの勝負になってるが、とりあえず今日のところは休むか……。




――そう思って、眠ったわけだが、久々にこの空間に来たな……。


「はい、お久しぶりの私です」


久しぶり、未来さん。アイカの件、ありがとう。


「いえいえ……未来視までしたのに、他にほとんど何もできず……」


未来さんは、悲しそうな顔をしている。いや、あれがなければアイカを助けるのは困難だったはずだ。本当に助かった。


「そう言っていただけると幸いです」


それで、今日は、何かあったのか?


「あ、いえ。特にそういう訳ではないんですが……ずっと喋ってなかったなと思ったのと、どうやらダンジョンのことで悩んでいたようなので!」


確かに、あの時以来喋っていなかったけど、ダンジョン?


「はい、私、ダンジョンには一家言あるので! 何かしらアドバイスできるのではないかなと」


なるほど、俺がダンジョンについて悩んでたからか。それに関してはすごい助かる。なら、未来さん的には、俺が”百年ダンジョン”に挑むのはどうなんだ?


「私から言えば、むしろ推奨します。ダンジョンは、確かに時間経過で成長しますが、それと同時に安定します。特に人の出入り少ないダンジョンはその傾向が強いです」


なるほど……でも、安定するとどうなるんだ?


「いくつかメリットがありまして……一つが、イレギュラーが減りますね。ダンジョンは成長すると急に地形が変わる、罠が増えるといったことが起こるのですが、それが少なくなる」


なるほど、それは確かにメリットだな。成長すると形が変わるのか。本当に生きてるみたいだな。


「そして二つ目は、報酬がとても良いです。ダンジョンの報酬って、ダンジョンそのものが持つ魔力保有量が多い方がいいものになるんですよね。ダンジョン暴走を攻略した時に出てくる報酬がとてもよかったのもそれが理由です」


なるほど、確かにあの籠手も羅針も中々にすごい性能だったな。そういう理由があったのか。そして、”百年ダンジョン”も、やはりそれだけ存続してるだけあって魔力保有量が多いわけだ。


「まぁ、魔力保有量が多いということは、出てくる魔獣が強いですが、今の泉さんとハイカちゃんのパーティなら問題ないかと!」


なるほど、これはいい情報を聞いたな。はぁ、これはもう挑むしかないか。それに、そこまでみんなが言うんだ。やっぱり冒険はしないとだな。


それにしても、未来さんはなんでダンジョンにそんな詳しいんだ? いや、まぁ女神だから当たり前だろうが……


「それは、私がダンジョンのシステムを創ったからですね」


……え? そうなの?


「はい、元々は別用途で作ったものを、皆さんへの試練、そして文明基盤となるように調整したのが今のダンジョンです」


文明基盤……ダンジョンでとれる魔金か!魔金、偽造がかなり難しいために、この世界の通貨には必ず使われているらしい素材。確かにあまりに通貨にするには都合がいいと思っていたが、未来さんが最初からそうなるように作ったのか。


「そうですね、他のダンジョン特有の素材も大体同じ理由で私が創った代物です」


そんな事情があったのか。


「まぁ、ダンジョン暴走(スタンピード)が起きるというようなバグなどもあるので、自信を持って言えることではないのですが……」


何だか、世界の理に、意外なところで触れてしまったな。というか、あれバグなのか。


「はい、私としては修正したかったんですが、女神同士が決めた約定でこれ以上過度に世界に干渉できなかったんですよ……」


一度出たゲームのバグはそのままになる昔のゲームみたいだな……。まぁでも、助かったよ、大分いい判断材料をもらった。俺としても決心がつきそうだ。


「それならよかったです」


他には何かあるか?


「そうですね、私が見ていない間にあったことなど教えていただけませんか? 気になるので! あとは……一つありますが、それは私の口からではなく、後のお楽しみということで!」


わかった、少し気になるが、楽しみに取っとくよ。もう少しだけ、俺たちのことを語ろうか。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

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