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三月羅針譚~盾持ちと吸血鬼~  作者: FOXtale
二章 ■■にあつまれ
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帰路と不穏

どうも、作者です。間違えて四十八話を先に投稿してしまいました。すみません。

といっても、これを投稿するときに、一旦消しているので、なんのこっちゃと言う人が大半だと思いますが。

とにかく、四十七話です。

俺たちは魔獣討伐を終え、帰路についていた。ヒビキさんは余裕がありそうで、エフィはげっそりしている。初手から追いかけられたからな、仕方ない。


「この盾、安易に振り回さないようにしないとな」


少し小突いただけで、九十キロの重みを感じる羽目になった、クランが。しかし、クランが食らうと俺も食らうのだ。普通に痛かった。


「そうじゃのう、じゃが悪人相手には遠慮なく振り回してよいぞ!」


勝手な判断で振り回すものではないだろう。これ、簡単に人殺せるぞ。というか、ナチュラルに俺の背中に乗るな。


まぁそれはさておき、ヒビキさんもエフィも頼もしくていい。二人が入ってくれてよかった。


「まさか、パーティの人員不足をこんな方法で解決するか普通?」


アメイの意見には同意である。いや、ヒビキさんを連れてきたのは俺だが。正直、たまたま道案内を頼まれただけなんだけどな……。


「そういえば、ヒビキさんはなんで俺に声をかけたんだ?」


よくよく考えたら、あの時声をかけるのは俺じゃなくてもよかったはずだ。たまたまにしても、偶然過ぎる気もする。


クランもどうやってヒビキさんと知り合ったのかと興味津々である。


「ああ、それですよ」


そう言って、ヒビキさんは俺の腰にある物を指さす。俺が身につけている実家の鍵……ではなく鍵と一緒につけている資料館でもらったお守りだった。


「そのお守り、ギルドの運営している店に売ってあるものですよね。大体ギルドの施設って固まっているので、知っているのでは? と思いまして」


「つ、つまりあの時食材を買いに行ったのがわしじゃったら……」


そういえば、同じお守りをクランも身につけているな。だからって、そんなに悲しむことか? いや、ファンなら一刻も早く会いたいものなのか?


だが、実際俺がギルドで待っていようが、こいつが食材を買いに行っていようが、展開はあまり変わらなかった気がする。


俺もエフィのことは知っていたし、恐らくクランはもっと話したいがためにヒビキさんを食事に誘っただろう。


問題があるとすれば、エフィは知らない人間に突然詰められ、ヒビキさんは質問攻めにあうことになるので、今の形が一番良かった気がするが。


(ま、ヒビキ様を連れてきたのはナイスじゃ!)


まぁ、良かったな。俺もヒビキさんと会えたのは大きかった。色々この世界のことも知れそうだし、クランと違って落ち着いた人だ。


(お前、さらっと馬鹿にせんかったか?)


ちょっと何言ってるかワカラナイ。


「あ、えと、泉さん」


「エフィ」


ずっとエフィと気安く呼んでいるが、魔王で俺よりずっと年上なんだよな。


「すまん、ずっと気安いよな」


クランの記憶が混じっているせいでどうにも気安くなってしまう。


「い、いえ大丈夫です! 半分くらいクランのせいだし、僕も自己紹介せずにすんでますから。イズミさん、僕を快く入れてくれて、ありがとうございます」


なんだ、そんなことか。なんてことはない、クランの友人で、魔法使いが不足してただけだ。こっちも打算ありきだ。


「いや、こっちこそありがとう。今日の戦闘で入ってくれてよかったと思ったよ、これからも頼む」


「! はい、よろしくお願いします!」


年上だし、そんなに固くならなくていいんだが、まぁ本人の気質の問題だからな。


「ま、冒険者としては未熟じゃがの!」


そう言い、エフィをからかうクラン。


「もう! 余計なこと言わないでよ! でも、ありがとう、クラン」


「ありがとうは余計じゃ」


さっきまで、あんなにおどおどしていたのに、クランには強気に出れるのは、友人の証だな。


そのまま、クランは俺から降りてエフィと話を続ける。しばらく会っていなかったわけだし、積もる話もあるだろう。


「仲良さそうで何よりだねぇ」


「ふふ、そうですね」


それを三人で、なんとなく見守る。


「それにしても、アメイはヒビキさんに結構気安いよな」


「パーティになるからには、ってやつさ。まぁ、ヒビキさんに言われたからだが」


それはかつてアメイが俺に言ったことだ。パーティなんだから、冒険者なんだから気安いほうがいいと。


それを今度はヒビキさんにやられたわけか。


「そういうことです。私としても、そっちの方を楽ですから」


まぁ、そうだな。パーティは多分、気安いほうがいい。それはアメイと一緒にダンジョンに挑んでわかった。


「イズミさん、一つ聞いていいですか?」


「なんだ?」


「イズミさんは、いつこちらの世界に来たんですか?」


ああ、そのことか。


「青月の終わりぐらいだったはずだ」


「となると、やはり、”勇者”と一緒に転移してきたのでしょうか?」


まさか、新の話が出てくるとは、流石に驚く。


「あ~、外ではそんなに噂になってんのか? ”新時代の勇者”ってやつ」


それに反応したのはアメイだった。


「ええ、少なくとも、聖王国ではかなり祭り上げられていますよ。かなりの実績を出しているようですし」


そうか、新のやつ、ちゃんとやれてるみたいだな。まぁ、俺より圧倒的に素質はあったらしいし、心配はしていなかったんだが。


「とにかく、なんでそう思ったんだ?」


「ここにいるということは、恐らくあなたを転移させたのは聖王国の人間でしょう。何せ、ここは一応聖王国の属国、レディポートの国内ですから。そして、最近レディポートより現れた勇者。勇者自体、転移者しかなれません。なら、関係性があってもおかしくないでしょう?」


なるほど、そう言われると納得せざるを得ない。どうも、異世界人自体、そうポンポンと現れるものではないようだし、逆にこれで関係性がないのは怪しいレベルか。


「ああ、どうも俺は、勇者の転移に巻き込まれる形でこっちの世界に来たらしい」


「そういう理由か、最初スキルが弱かったのも、巻き込まれたからか」


いや、それは未来さん(赤月の女神)の不手際らしいが……まぁ間違いではないだろう。


「なるほど、そんな形だったんですね。ふむ……わかりました。すみません、好奇心から聞いてしまって」


「別に隠してないから、構わん」


異世界人とバレていないならともかく、バレている相手には別に隠してもいない。まぁ、敵とかなら警戒するが、ヒビキさんはとりあえず大丈夫だろう。


「まぁ、その結果が異世界人と吸血鬼なんてとんちきな組み合わせなんだがな」


「ふふ、それはそうですね」


そんな雑談をしながら帰路を進む。



「――ふざけんじゃねぇぞ!」


「い、いえこちらの不手際では!」


クエストの完了処理をしようとギルドに入ると、そんな怒号が聞こえてくる。何事かと、受付の方を見ると、冒険者が受付嬢を怒鳴っていた。


それはギルドではかなり珍しい光景だ。いや、ギルドの外では喧嘩なんかがたまに起こっていたが、ギルド本館で起こっているところは見たことがない。


とはいえ、受付嬢の方は何が何だか分からないという顔で涙目だ。これは……いちゃもんの類か? 流石に放っておけんな。


「――なんでハイカがいるギルドでこんなことが起こってる?」


俺とクランが止めに行こうとしたとき、アメイがぼそっと言う。どうして”ハイカさん”なのか、そう思って思い出す。”ギルドの怪物”の話を。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

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