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三月羅針譚~盾持ちと吸血鬼~  作者: FOXtale
二章 ■■にあつまれ
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パーティ勧誘

どうも、作者です。四十四話です。

「――わしらと一緒にパーティを組まぬか?」


クランはエフィに対してそう言う。その言葉にアメイとアイカのフォークが止まった。刺さったままのとんかつに何か虚しさがある。


「正気かてめぇ!」


まぁ、そういう反応になるのは分からなくもない。だって魔王だからな。それをパーティに入れるというのは正気ではないだろう。


「今更じゃ、今更、わしが吸血姫で、こやつが異世界人じゃぞ。今更魔王の一人や二人、入れたところで変わらんわ」


流石に魔王をもう一人増やすのは勘弁してほしいが。そもそものパーティメンバーがおかしいのはある。それで言えば、アメイだって日本語が分かるという特異性を持っている。


アメイの方もそれを言われて反論できなくなっている。正直正体バレしてまずいのはエフィだけではないのだ。


「え、えとエフィさんはどうなんですか?」


アイカは、唐突の話に動揺しながらも、エフィを慮る。アイカの言う通り、そもそもエフィが入りたいかどうかである。


「ぼ、僕は、できれば、入りたい、です」


相変わらず自信がなさげだが、どうやらエフィとしても入れるなら入りたいらしい。


クランは、エフィから入りたいと言えないのを察したんだろう。基本、冒険者というのは、単独でクエストやダンジョンに挑むことはない。一部例外もいるらしいが。


そうなると、誰かとパーティを組まないといけないわけだが、パーティを組むということはそれなりに付き合いが長くなることが多い。


となると、隠し事をし続けるのは難しいだろう。実際、それが俺たちがハイカさんにアメイを紹介されるまで他の人とパーティを組まなかったのはそれが理由であるし。


身分がばれないように、短期での付き合いというやり方はあるが、内気で人付き合いに慣れていないエフィには難しいだろう。


「それに、これでも魔尾の王じゃ。魔力の才能はすさまじいぞ」


魔尾という種族は魔力の素質が高い種なのか。まぁ魔人というと、魔法とか使えるイメージがある。


「確かに魔法使いは不足してたが」


「それじゃ、決まりじゃな」


その言葉に、エフィは顔を輝かせる。やはり、不安ではあったのだろう。まぁ、一人でここまで来て、ここから先もずっと自分を偽り続けるのは大変だろうしな。


「はっはっは! これで魔法職(キャスター)は解決したのう!」


そういえばパーティメンバーを集めるっていう目的があったな。正直、しばらくは無理そうだと諦めていたから、忘れていた。しかし、こんな感じで見つかるとは。


「解決というと、皆さんはパーティメンバーを探していたんですか?」


「そうです!」


敬語を使うクランは中々に違和感があるが、尊敬するヒビキさん相手だから当たり前何だろうが。


「ああ、俺たちは、今パーティメンバー募集中だ。現状三人だけでな」


「三人というと、そちらの……お方は違うんですね?」


ヒビキさんは、いつの間にか布団をかけられ、調理室の空いたスペースで寝かせられているハイカさんを見ながら言う。


「ハイカお姉ちゃん! 私のお姉ちゃんです!」


アイカは、ヒビキさんに対してハイカさんのことを紹介する。尊敬している人に自分の姉を紹介元気よく紹介していた。


「そうっすよ。しかも今、俺が行動支援職(クイックサポーター)


「わしが回復職(ヒーラー)です」


「俺が防御職(タンク)


俺たちは、順々に紹介すると、ヒビキさんはきょとんとした後、すぐに口元に手を当て笑い出す。


「ふふふ、それは致命的ですね」


「そ、それでよく今までやれたね……」


エフィはクランに対してそう言う。やっぱりみんなそう言う反応になるか。まぁ、実際それで死にかけたので俺たちとしても反論のしようはない。


「となると、あとは戦闘支援職(バトルサポーター)攻撃職(アタッカー)ですね」


「アタッカーとか一番集まりやすいはずなんすけどね……」


アメイもそう言うが、実際アタッカーというと大体はパーティの中心だ。それが現状いないパーティというのはかなり前代未聞かもしれない。


それにしても、後その二つの職業を見つけなければ、とはいえ、魔法職が入っただけで御の字だろう。何より魔法職はメイン火力になる。今まで足りなかった火力が入ってくれるのはとてもありがたい。しかも、かなり魔法使いとして期待できそうなのもいい。


「何だったら、ヒビキさんが入ってくれてもいいぞ」


俺はダメ元というか、冗談のつもりでそう言う。『文化紀行記』なんていう、世界中を渡り歩いてその文化を記録する旅人に言うことではないしな。


「パーティですか……いいかもしれませんね」


「「「「え?」」」」


……まじか。


「え、本当に?」


「本当ですよ。異世界人に、吸血姫、魔王にベテラン冒険者。ええ、記録者としても退屈しなそうですから……それにこのご飯が食べれるのも中々良い条件です」


そう言いながら、残っているご飯を一口食べる。周りが困惑している中一人だけマイペースである。まぁ、俺の飯でいいなら全然作るんだが。


「お前ももうちょっと驚けよ!」


いや、これでも結構驚いている方なんだが、表情筋に出ないだけで。


「でも、冒険者ってやれるのか?」


そもそもヒビキさんは今までただの旅人だったわけだし、急に冒険者として活動できるんだろうか?


「ええ、大丈夫ですよ。というか、私一時期冒険者だったので。と言っても四百年ほど前ですが」


「ええ!? そうなんですか!?」


ヒビキさんは元? 冒険者だったらしい。というか、四百年ってクランが生まれる前じゃないか。当たり前にそんな時間単位が出てくるのが怖い。


「ええ、しかも私は戦闘支援職です」


ちょうど足りないところじゃないか……ビックリするほど都合がいい。そんなことあるか?


だが、こっちとしては都合がいいのは歓迎だ。難航しそうなものが簡単に終わりそうになったんだ。むしろ喜ぶべきだな。


まぁ、竜人と魔王なんて、確実に後々問題になりそうなものだが……まぁ今更である。俺とクランの時点でその問題は付きまとっている。というか、未来さん(女神)関連で厄介ごとがあってもおかしくないし。すべて今更である。


「おかしいな、今日って泉のご飯食べるだけの日じゃなかったっけ?」


「まぁ、そうじゃの……そのはずじゃった」


ヒビキさんを除き、全員が今日あったことで完全に情報量に押しつぶされそうになっている。そのせいか、その情報量をかき消すように黙々とご飯を食べ始める。うん、とんかつ、うまくできたなぁ。


「――う、ここは?」


「あ、起きた」


ハイカさんがついに起きた。昼から寝ていたらしいから、五、六時間ぐらいは寝ていたんではないだろうか。かなりお疲れだったようだ。


ハイカさんは眠そうな目のまま、俺たちの方を見回す。


「今、何時ですか?」


「日が落ち切ったぐらいだな」


それを聞いたハイカさんは天を仰ぐ。仕事……あるんでしたね。ただ、その瞬間他のことを思い出したのか、こっちに向き直る。


「って、今どういう状況ですか!?」


ああ、そういえば、元々、エフィが魔王という情報を聞いて気絶したんだっけか。


「……魔王が家出した理由がどこぞのお姫様と同じ家出という理由を聞いたところで泉が帰ってきた。そしたら、その盾野郎が竜人のヒビキさんを連れてきて、何故か一緒に尋問を聞いて、最終的にヒビキさんが、別に帰りたくないなら帰らないでいいだろうと言って、全員納得したのでその結論で落ち着いた。なので、とりあえずイズミが作ったとんかつをみんなで食ってた。そしたらなんでか、お嬢がエフィをパーティに誘って、そのノリで泉がヒビキさんを誘いやがった。そしたら二人とも快諾した。もう意味が分からんのでとりあえず飯食い終わろうとしてのが今」


アメイがハイカさんが気絶してからの話をしてくれる。うん、嘘みたいな話だけど、全部事実なんだよな。すごい。


「ちゃんとハイカさんのも残してますよ」


一応そう付け加えるが、ハイカさんは急に来た情報量で目をつぶって、目元に手を当てていた。そしてもう片方の手で待ってくれと言わんばかりに俺たちに手のひらを見せててる。


「っすぅー、とりあえず、寝ます。とんかつは置いておいてください。食べるので。あと後でサインください。ごめんなさい明日の私、全部押し付けます。おやすみなさい」


――うん、まぁこうなるな。俺たちは全力でハイカさんに同情した。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

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