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三月羅針譚~盾持ちと吸血鬼~  作者: FOXtale
二章 ■■にあつまれ
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鍛冶師バレン

どうも、作者です。三十五話です。

「うおおおお! つまり専属鍛冶師か!」


鍛冶師のバレンさんは、俺たちにオーダーメイドの装備を作ってくれると言った。つまり、クランが言った通り専属鍛冶師になってくれるのかも。


「まだ試しだかな、互いに納得しなきゃ、契約は結べねぇ」


それもそうか。だが、ドワーフで鍛冶師で職人肌、これで信用できないはずがないだろう。


俺としてはもう、なかなか楽しみだ。


「とりあえず、ステータス見せろ」


やはり、装備を作るためにステータスを見せるんだな。俺達はステータス画面を開く。


「あと、マゼラン」


ん?


「イエッサー♪」


「んぎゃ!」


ステータス画面を開いた途端、後ろからマゼランが俺たちの体をまさぐる。これは、装備を見繕ってもらった時と同じか。


俺はいいが、クランの方はかなりヘンテコな顔をしている。抵抗したいが、必要なことだから抜け出せないという顔である。


「ふむ、面白えステータスしてんな、マゼランから聞いてたが、実際に見るとわかりやすい。スキルの方は?」


クランは声を出せそうにないので、俺がクランの分までスキルの説明をする。


「『盾持ち』か、こいつは面白えな」


ボソっとそんなことを言う。まぁ、装備を作る上で重量軽減は確かに重要か。


「こいつはどれくらい軽くなるんだ?」


「俺もわからないけど、体感だとそ重い石が、軽めの石になったくらいです」


「石は変わんねぇのかよ、分かりにくいな」


すみません、俺もなんて言えばいいかわからないです。ただ、本当にいい例えが思い浮かばなかった。


「泉さんの盾は確か十キロ前後だったはずです。それが軽い石ということは、もしかしたら十分の一くらいにはなっているかもしれませんね」


俺の体を触りまくっていたマゼランが的確に指摘してくれる。確かにそれぐらいは軽くなっているかもしれない。


「わかった……今まで盾しか使ってなかったのか?」


俺はうなずく。言われてい見れば盾しか使っていないな。剣とかもあれば、多少はやりやすかっただろうか。いや、焼け石に水ではあるか。


「あと、そっちの嬢ちゃんはハンマーだけか?」


クランは疲れた顔でうなずいた。


「わかった、装備の方は……」


「私が選んだものですので、これをそのまま引用していただいて構いませんよ!」


「はぁ、ま、お前が選んだんなら問題はなさそうだな」


今更ながらこの二人、互いのことをよく理解しているみたいだ。一体どういう関係なんだろうか。


「あ、ただの腐れ縁ですよ」


心を読まれた!? いや、こいつたまにこっちの内面を当たり前のように見透かしてくれるの本当に怖い。クランもドン引きしてるじゃないか。


「あ、採寸など終わりました。今紙に書いてくるので少々お待ちを~」


そう言いながら、マゼランは工房の裏まで下がっていく。


「本当になんなんじゃあいつ」


マゼランは会えば会うほどよくわからくなる。あいつ本当に何者なんだろうか。


「あいつのことなんて考えるだけ無駄だぞ。人にほぼ無償でアイテムを渡したかと思えば、ぼった来るときもあるし、自分で使う金はほぼギャンブルだ。おかげさまで定期的に金貸す羽目になりやがる」


それに付き合っているバレンさんも面倒見がいいというかなんというか。それとも、何かほかに理由があるのだろうか。


「とりあえず、装備に関しちゃ任せな」


「料金の方は……」


そう、問題は料金だ。やはり、オーダーメイドというのは高いものだ。それに、俺たちは相場が分からないから、余計に怖い。


「そんなにいらねぇよ、俺から頼んだしな。だが、一個だけ頼みを聞いてもらう」


安堵したところ、何か要求があるそうだ。


「装備が完成するまで、戦闘禁止だ」


「なんじゃと!?」


戦闘禁止、つまりほぼクエスト禁止である。冒険ができないのは、体を動かすことに積極的なクランにとっては死活問題である。


まぁ、問題はないだろう。案外やることがないのはあるが、まぁ探せばいくらでもあるだろうし。


「いつじゃ、いつまでじゃ!」


クランが全力で聞いている。そこまでクエストに飢えているか。バレンさんは面倒くさそうな顔をしながら考えている。


「構想は大体できてるから……まぁ、三日ってところだな」


三日。実質三連休だな。クランは悩みに悩んで、最終的にはうなずいた。そこまでか。


「おやおや、話し合いは終わりましたかー?」


マゼランが裏から戻ってくる。どうやら俺たちの情報を書き終えたらしい。


「うむ、しばらくクエストに出れないのは面倒じゃが仕方ないのう」


「そうですか~。あ、だったらこれお貸ししますよ」


マゼランが出したのは、一枚の丸められた大きめの紙だった。クランはそれを受け取り、広げる。そこに描かれていたのは、地図だった。


「これは……この街の地図か」


「はい、わたくし謹製のダンジョン街『シゲン』の地図です♪ わたくし的おすすめスポットや、休憩スポットや、商店などなど書かれています。この機に町巡りなんてどうでしょうか!」


確かに、言われてみればこの街を巡ったことはなかったな。今まで宿屋とギルドを行き来することがほとんどだったし、祭りの時には随分歩いたが、人が多かったのと、祭りの装飾で普段と雰囲気が違ったし、いいかもしれないな。


「良いのかこれ?」


確かに、謹製ということは手作りなわけだし、街丸々地図に起こすというのは中々に苦労したものなのではないだろうか。


「ええ、頭に入っておりますし、ここを紹介したのはわたくしですから、サービスです♪ あと、しばらくこの街を離れるので」


意外な情報が入ってきた。まぁ、商人だしそう言うこともあるかもしれんが。


「ええ、少しばかり外まで商品の補充に行ってくるので、しばらくの間留守に致します。といっても、二か月程度ですが」


二か月、長いか短いか絶妙なラインだな。マゼランの知識は何かと役立つので、それが無くなるのはあれだが、まぁ頼れる人は他にもいるしな。それに、しばらくポーションを買いためることもないだろうし、問題はないだろう。


「とはいえ、お二方の装備をしばらく見れないのが悔しいところですが……! しかし、わたくしアイドル商人でございますから、役割はこなさねば! お三方にも寂しい思いを」


「「「いや別に」」」


俺たちは食い気味にそう言う。まぁ、やかましいやつがいなくなるのは、むしろ心の平穏にはいいかもしれない。会えないとなると話は別だが、別に二か月くらいだしな。


「およよ、お三方、おひどいですねぇ」


涙をぬぐう(ふり)をしながら、マゼランはそう言うが、正直全くメンタルにきていなさそうである。


「とにかく、次に会う時を楽しみにしておりますね♪ 役割を終えたわたくしは、次の仕事のためにここでさらば、です!」


そう言いながら、マゼランは出ていく。相変わらず、場のすべてを持っていくやつでだな。


「ま、とにかく四日後にまた来てくれ。それまでには仕上げて見せる」


「うむ! 楽しみにしておるぞ!」


すっかりマゼランのことを頭からなくしたクランがそう言う。さて、できるまで町巡りなどして時間をつぶしていこうか。装備、楽しみだ。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

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