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三月羅針譚~盾持ちと吸血鬼~  作者: FOXtale
二章 ■■にあつまれ
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商人ちゃんは何処?

どうも、作者です。三十三話です。

軽いクエストを今日もこなす。昨日の会議を経て、簡単にできるクエストをやる。


「はい、ソルプレン四」


昨日と同じ、ソルプレンという名前のサルの魔獣である。やはり、強くはないというか、ことごとく奇襲攻撃をアメイが看破するので、脅威が一切ない。


どうしてこんなに奇襲攻撃に慣れているのかと? とアメイに聞いたら


「昔めちゃくちゃこいつらの巣に放り込まれた。なんでも『奇襲攻撃に慣れるなら彼らが一番です』と言われてな、あれは地獄だった」


それを聞いたとき、どんなスパルタなんだろうかと思った。アメイを鍛えた人って誰なんだろうか。そう言えば、この前ダンジョンで『体験してなれろ』というのもその教えの一つなんだろうか。


やはり特に苦戦するところもなく、今日もクエストをクリアした。


「はい、今日も討伐完了! 酒飲みに行くぞ!」


「まだ昼だぞ」


アメイの言葉にクランがついていきそうになっていたが、襟首をつかんで阻止する。


「やることあるだろうが」


クランは不服そうだが、昨日から言っていたことだろう。それにこっち的には早く会いたいのだ、マゼランに。


「今のままだと、盾が軽すぎる」


あのダンジョンに帰ってきたから、いや厳密には”契約”してからだが、


「もしかしてだが、スキルか?」


アメイの言葉にうなずく。あれ以来結構な重さがあったはずの盾がすごい軽い。恐らく、この『盾持ち』だろう。確か、ダンジョンに入る前は『盾使い』みたいな名前だったはずだ。


ということで、一応スキル確認。


『盾持ちLv.3』

・盾を持っている時、防御、耐魔、速度上昇

・盾の技術補正

・物を持つとき重量補正(高)


「本当に変わってる」


基本的な性能はあんまり変わっていないが、ものを持つときの重量補正が増えているっぽい。


「お前らの”契約”ってやつが、汎用スキルにも影響でてるのか。余計意味不明だな」


「ううむ、わしの『槌使い』も、『破槌者』になってるしのう」


確かに、色々と恩恵を受けているのだと改めて感じる。まぁ、特にステータスに影響はないが、スキルが本当に変化したなぁ。


「ま、とにかく、マゼランを探すぞ」


「じゃあ、俺は酒を買いに行くぜ!」


どんだけ飲みたいんだこいつ。とりあえず、三人でギルドに戻って、ハイカさんのところでクエストの処理。そのあと、アメイと別れてマゼランを探すことにした。




(――それで、どこ探すんじゃ?)


問題はそこである。マゼランは神出鬼没、正直本当にどこにいるかわからない。しかし、あいつはなんというか、都合のいいときに出てくる。


にしても、俺は一瞬振り返る。はぁ、


(喋りながら、探そう)


「? わかった」


クランは早速、声に出す。効果があるかわからないが、やってみる価値はあるだろう。


「勘でいいから、マゼランがいそうなところはあるか?」


「うーん、思い浮かばんな、昨日はギルドにおったが、今日はおらんかったしなぁ」


そう、ギルドにいるかとも思って、ハイカさんに聞いてみたが、今日は来ていないと言っていた。となると、ギルド以外の場所になるだろうが、正直ダンジョン街は広すぎる。流石に総当たりしていると、何日かかるかわからないし、そもそもマゼランが動いていたら意味がない。


「というか、マゼランのことはお主の方が知っておるのではないか?」


「何でそうなる?」


確かに、最初に会ったのは俺だが、それ以降は別に単独で会っていない。


「何というか、お主の方が気に入られておるじゃろう」


そうなのか? 全然わからん。だが、クランの勘を否定するほど材料がないし、ある意味今はヒントが得られるかもしれない。


俺は考える。マゼランと会ったときのこと、あとは、マゼラン本人のこと。マゼランは、都合のいいところにいる。そして、俺とあいつの接点


「……あそこに行ってみるか」


「あそこ?」


「俺とあいつしか知らない場所」


さて、一瞬何か気配を感じたが、気のせいだといいんだが。



「――いやはや、偶然ですねぇ! お二方! このアイドル商人マゼランちゃんに会いに来てくれたんですか!」


いた。正直ここしか思い浮かばなかった。何せ、”こいつと初めて会った場所”で、”鍛冶工房”がある場所だったからだ。


「本当にいたぞ、こやつ」


「というか、お前、ついてきてただろ」


さっきのあからさまな気配。こいつ、俺がここに来るまで後ろについていくつもりだったな。


「いやはや、一体何のことでしょうか? マゼランちゃんにはよくわかりませんねぇ」


わざとらしい仕草でそう言うマゼラン。めんどくさいのは、俺がこの程度で特に好感度が変わらないと思ってやってるところだな。


「それで、俺たちのことは、ギルマスからどこまで聞いてるんだ?」


「あら、そこまで知ってるんですね?」


「うむ、ハイカ殿から聞いたからのう」


昨日ギルドにマゼランが来た理由をハイカさんに聞いたら、理由は知らないがギルマスの部屋に入っていったという話は聞いた。というか、二日前も来ていたらしいし、俺たちのことはその時に聞いていたんだろう。


「なるほど。その通り、ギルドマスター様から聞いていましたよ♪ ――改めて、本当によくご無事に戻ってきてくださいました♪」


さっきまでの明るい雰囲気が急に鳴りを潜め、ミステリアスな雰囲気と、安堵の表情が唐突に飛び出す。かと思えば、最後にはいつもの調子に戻る。本当によくわからん奴だな。


「お主は、どこまで聞いてるんじゃ?」


しかし、クランは特に気にすることなくそう言い放つ。実際どこまで聞いているんだろうか。


「ええ、お二方がダンジョン暴走を沈めたこと、その際に新たなスキルを獲得したこと。あとは、ランクとレベルが大幅に上がったことぐらいでございますよ。流石にピンチ時にスキル覚醒というのは、都合がよすぎますから、何かあるとは思いますが、そこは商人、変に追及はしませんよ、秘匿された情報の重要性と危険性は熟知しておりますから♪」


ふむ、それはもう気づいていると言っているようなものだが、相手が詮索しないなら都合はいいだろう。


「ちなみに、それを言いふらしたりは?」


「しませんよ♪」


なるほど、なら問題ないか。


(本当に大丈夫なのか?)


(多分な)


「というか、なんでギルマスと話してたんだ?」


「商談という奴ですよ♪ あのダンジョン暴走で一時ポーションの類が大幅に減りましたからねぇ、商人としては、結果的に言い儲けどころでした。ま、こう言えるのも大惨事にならかったからですが」


実に商人らしい。だが、そう言われると納得せざるをえない。実際、あのダンジョン暴走では、死者はほとんど出ず、生還した人が大半だそうだ。ギルマスはほぼ奇跡と呼んでいたが、しかし、けが人は多くいただろうから、商人としては実際、よくポーションは売れたことだろう。


――なんだか、それだけではないが。マゼランは俺の疑念に気づいたのか、妖艶な笑みを向けてくる。はぁ、なるほど、秘匿された情報は、暴いたときに何があるかわからんな。


「さて、では”本題”にはいりましょうか♪」


「ああ、頼む」


俺たちは、マゼランに戦利品を見せる。さて、鑑定の時間だ。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

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