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三月羅針譚~盾持ちと吸血鬼~  作者: FOXtale
二章 ■■にあつまれ
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例の件

どうも、作者です。三十二話です。

「今のパーティ構成はカスじゃ! つまり、パーティメンバーを集めるぞ!」


「それって俺が前から言ってたことおおおお!」


だからこそ、クランも考え直したんだろう。今のパーティはきついと。どのみちこれから魔獣の数が増えたら、確実にクランの処理能力では追いつかなくなるから、妥当だろう。


「となると、必要なのは……」


攻撃職(アタッカー)魔法職(キャスター)戦闘支援職(アタックサポーター)だな。改めて言うと、メイン職業だよなこれ……」


まあ、普通はこっち側を先に集めるよな。


「うむ、まぁそのうち集まるじゃろう!」


こいつの楽観には呆れるが、まぁ腐ってもダンジョン街だし、アタッカーもキャスターもまぁ、いるだろう。


「それは良いが……これから長期的に付き合うのなら、色々問題あるしなぁ。そもそも、今の時期は厳しいと思うぞ?」


アメイの指摘に、クランが苦い顔をする。俺たちが今までパーティメンバーを集めなかったのは、俺が異世界人だったり、こいつが吸血姫だったりしたせいだが。


「その問題はあるとして……なんで厳しいんだ?」


「経験者でフリーな奴は基本いねぇ、俺は例外だけど。まぁ全員パーティを組むメリットは分かってるからな。となると、狙うべきは新人冒険者だが……この時期はその新人共がパーティを組み終わったころだ。そして、赤月は初心者冒険者なんてほとんど来ねぇ」


なるほど、経験者を入れるのは絶望的。かといって俺たちのような新人冒険者はほとんどパーティを組み終わり、そして新人冒険者は入ってこない、と。


「確かに、どうやって集めるんだ?」


しかも俺たちの正体の問題もある。


「く、厳しいのか」


アメイの情報にクランは頭を抱える。まぁ本当に、どうするか考えないといけないな。


「ま、別に急ぐ用事もないし、気長にやっていきゃいいだろ、来年の青月になれば、また新しい冒険者も増えるしな」


やはり、新人冒険者を勧誘するのが一番丸いか。まぁ、それを聞いたクランは、文字通り心の底から遅い! という感情が流れ込んでくるが。


「まぁ、それに、お前らもあの戦いでがたがたなんだから、しばらくは休養しろよ」


「そうだな、レベルが上がったせいで装備も合わなくなったし、結局休みもあまりとってないし」


急ぐ案件はないし、仲間集めも難航しそうだし、マゼランの所に戦利品の鑑定もしてもらわないといけない、ゆっくりやっていくしかないな。


「そうじゃったな、装備の件もあるのか」


レベルが上がったことで、装備が合わなくなった。俺は特に盾が問題だ。すごい軽く感じるようになってしまった。


装備か、またマゼランに聞いてみようか。あいつの選定眼は確かに本物のようだし、結局、鑑定関連で会うしな。


「ま、今日のところはこんなところかね。あと、しばらくはクエストは緩めにな」


「むぅ、仕方ないだろう」


クランは少し不服そうだが、ま、休む時間も大事である。というわけで、食事と会議を終えた俺たちは今日のところは解散することになった。



「――ううむ、もっと冒険したいのう」


「仕方ないだろ」


俺たちは宿に戻って休養していた。といっても、あまりやることはないのだが。


(さて、クラン、”例の件”だが)


(はぁ、本当にあれに関しては驚いたわ)


あれとはつまり、とある夢の話である。そう、赤月の女神の件だ。


(まさか、お前が女神さまの眷属だったとは)


(やっぱり、知ってるか)


(うむ、お前経由で夢の内容は伝わっておる)


やっぱり、未来さんの言っていた通りクランにはバレていた。


(にしても、人の女神様に気軽に名前をつけるとは、不敬極まりないのう)


確かに女神にあだ名みたいなのをつけたのは中々変な話だが、名前として赤月の女神と呼ぶには長いので仕方ない。


(というか、人の女神さまってどういうことだ?)


(ふむ、そこらへんは種族の話になるが、お前はあまり知らんじゃろう)


確かに、この世界の種族について聞いたことがなかった、クランのような吸血鬼が魔族という話は聞いているが。


(なら、そこからじゃな。この世界にはいくつかの”人”がおる。いわゆる、知能種と言われている者たちじゃ)


知能種、そうか、この世界では人間だけが知能を持っているわけじゃない。吸血鬼だってそうだろう。だから、霊長類ではなく、知能種という分類で、その総括で”人”と言われてるのか。納得。


(そして、この知能種には、細かい分類があるが、その中で一番大きな分類が三族と呼ばれるくくりじゃ、吸血鬼、魔人などがいる魔族、人間をはじめとした獣族、お前はまだ関わっておらぬが、エルフやドワーフと呼ばれる種族がいる霊族じゃ)


魔族、獣族、霊族。そんな分類があったのか。というか、長い耳の人をたまに見ると思ったがやっぱりエルフとかいるんだな。何より、月、女神と来て、ここでも三つの分類。ということは、


(その分類に、女神が関わっている?)


(その通りじゃ、それぞれの種族は、それぞれの女神が創造したと言われておる)


なるほど、納得した。つまり、クランたち吸血鬼の種族を創ったのは


(赤月の女神、未来さんってわけか)


(その呼び方慣れんのう、まぁ良い。とにかく、お前が言った通りじゃ、つまりお前が話したのはわしら魔族の創造主という訳じゃ)


そう聞くと、本当にすごい存在なんだな。正直、本人と話した時点では全然そんな感じがわかなかったが。


(クラン的に、巻き込まれるって言うのはどう思う?)


(事実じゃな。お前がどれだけ眷属として認知されているかにもよるが)


”眷属”、というのはなぜ巻き込まれるのだろうか。


(眷属ってそんなに重要なのか?)


(うむ、言ってしまえば、女神の代弁者であり代行者じゃ。女神たちはこの世界に干渉するには、眷属を通じなければならんからの)


なるほど、つまり眷属=女神の思惑そのものなのか。未来さんが言っていたのはそういうことか。未来さん的には、俺に具体的な指示をするつもりはなかったが、しかし、周りから見れば女神とつながった女神の代行者なわけか。


だが、どうも未来さんの言い分だと、クランも巻き込まれると言っていたので、クランも眷属なのかと思っていたが、どうも違いそうだ。


(それにしても、なぜ眷属やらがいるんだ? というより、女神同士の争いって)


(わしも、具体的な内容は知らん。父上なら何か知っておるかもしれぬが)


争っているはずなのになんというか、あまり危機感のようなものは感じない。何かしら影響はあるだろうに。


(父上、つまり魔王か)


魔王、クランが吸血鬼の姫であるなら、父親は魔王であるわけだが、クランも関わるというのは魔王の存在も関係ありそうだ。


(ただ一つ分かっておるのは、すくなくとも、女神の争いは千年以上終わっておらぬが、じゃが停滞している。ということぐらいじゃよ)


千年以上。そうか、危機感のなさはそれが理由か。何かあっても、それが女神の仕業かはわからないし、停滞しているということは、当事者意識なんてないだろう。


(ま、とにかく、警戒はしておくんじゃな。停滞しているとは言ったが、お前の存在や、他の要因でいつ動き出すとも分からぬ。ま、女神さまの言っていた通り、とりあえずわしらは関係ないのスタンスで行こうではないか! わっはっは!)


まぁ、そうだな。眷属になった、厳密にはなっていないが、繋がっているのは間違いないが、今はとにかく冒険者としての問題からだな。


しかし、他の要因か。新、勇者の存在も、その一つなのかと、そう思う。それに、多分無関係ではいられない、そんな予感は、あった。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

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