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三月羅針譚~盾持ちと吸血鬼~  作者: FOXtale
五章 ■■流星
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207/209

これからの話

どうも、作者です。二百六話です。

女神同士の戦争、世界の方針を決める戦い。それが、未来さんが戦いを拒んだことでここまで停滞しているのは分かった。でも、それが、どうして戦いを受けなければいけない状態までになっている?


「理由は二つ、魔眼の王の交代と、”大厄災”です」


大厄災……ここでも、関わってくるのか。それって、獣族の大陸を襲った厄災なんだよな? だったら、むしろ被害を受けたのは青月の女神なんじゃないか?


「いいえ、あの厄災の目的は、魔族に対する悪感情の増加と、勇者……先代の勇者の抹殺です」


どういうことだ? 前者はまだわかる。魔族に対して、いい感情を持たない方が戦争になりやすいのは分かる。言いたくないが、そういう感情は原動力になりやすいし……。


でも、なんで、なんで、自分の陣営に当たる勇者を殺す必要があった?


「簡単な話です。先代の勇者は、青月の女神の考えに反発し、従わないと決めたからです……それは、今の”セントラルフラッグ”の現状こそが勇者の残した意思そのものです」


そうか……今のセントラルフラッグの幹部は、勇者パーティって話だったな。それで、ソテルさんも、ハイカさんも俺たちの素性を知って協力してるのは、そもそもが同じ目的だったからか。


「何より、あの厄災で最も被害を受けたのは、冒険者たちです。魔獣災害ですからね……そして、冒険者たちが最も多く所属するのは、セントラルフラッグ」


つまり、効率よく敵になる相手を削ったのか……! 徹底的なまでの先代勇者陣営の排除が目的か。


「ええ、生き残った勇者パーティの皆さんが尽力していなければ、今頃セントラルフラッグは瓦解していたでしょう」


そんなことになってたのか……結局のところ、大厄災って何なんだ? 獣の大陸全土がピンチになるほどの厄災って。


「一言でいえば、最大級の”ダンジョン暴走(スタンピード)”です。起こったのは、魔大陸の千年ダンジョン”アビス”」


千年ダンジョン……俺たちが攻略した百年ダンジョンですら、魔獣たちはかなり強力だった。単純に考えれば、その十倍。それはいかに恐ろしいことなのか。


そして、それが”暴走”したのだ。その恐ろしさに関しては知っている。中にいる魔獣が一斉に外に出て、人を襲い続ける。


その組み合わせはあまりに凶悪というほかない。そして、それが魔大陸で起きたってことは……


「魔大陸に関しては、ほとんど被害がありませんでした。幸いなことに、強力な防衛システムを持つ魔尾と、粘液の種族が近かったこと……そして、ダンジョン最奥の魔獣”ワイルドハント”は獣の大陸へと向かいましたから」


それで結果的に大きな被害を受けたのは、獣の大陸だったってことか。


「はい。そして、その”ダンジョン暴走”を起こした元凶こそ」


もう一つの原因、魔眼の王、ってことか。だがどうして、魔眼の王の交代が、そんなことを引き起こす要因になっている?


何より、その魔眼の王が未来さんの不利益になるようなことを起こしたということはつまり……


「裏切り……ですね。現在の魔眼の王は、青月の女神陣営。つまり、敵です」


マジか……ちょっと待て、だったら、今未来さん……赤月の女神に従う王は何人いる?


「魔族の王はもともと六人……魔眼の王を除けば五人……そして、負けが確定している”空間”の王を除けば、四人」


……エフィがもう負けが確定している!? 一体……そうか、クレオス王に、協力を乞うデメリット……!


「その通りです。他の王に従うということは、それ即ち負けを認めたようなもの……本来あってはいけないことなのです……ですが、今回の件は、これが最適解だと、私も思います」


だとしても、かなりきついな……。未来さん、それぞれの陣営というか、王は合計何人いるんだ?


「魔族が六人、霊族が五人、獣族が勇者を含む四人の計十五人……その内、私の陣営は五人、青月陣営は七人、他三人は、無所属です」


つまり、今のところ、エフィが負けが確定していることを考えれば、七対四か……圧倒的に不利だな……。その上、恐らく、あの断罪者たちや、体現者たちも敵になる……相手の戦力が計り知れない。


だが、こっちもセントラルフラッグという戦力がついている……はぁ、どの道俺がいくら考えても、どうにかなる問題じゃない。


「……い、一応聞きますが、こうになるまでうまいこと対処もできなかったこのポンコツ女神に、泉さんはついてきて……」


そんな涙目で言われても困る。はぁ、ついていくよ。俺はあんまり、徹底管理とか好きじゃない。それに……まぁいいや。俺の仲間たちが大体そっち陣営で、未来さんは、何というかほっとけない。


「い、泉さ~ん。ごめんなさい、本当に女神らしくなくて」


それで、俺はこれからどうすればいい? しばらくは試練から離れられないし……しばらくは通信が取れないんだろ? だったら、


「具体的な指示は、多分できません。未来の女神なのに、相手の動きが全く予想できませんし……ですが、今のところ、彼女から宣戦布告が来ない、彼女は恐らく、何かを待っている……だから、こちらとしてやれるのは、戦力を削ること、それと、今無所属の王たちをこちらに引き入れること、後は一発逆転を期待することでしょうか?」


やっぱり、戦力を削ると、王の勧誘……確かにできるのはそれぐらいだな。どのみち、”憤怒の断罪者”は俺がどうにかする。


それと……一発逆転ってなんだ?


「私たち以外の力に頼る……実は、”アビス”と同じような千年ダンジョンが、残り二つあります。”アビス”のそれは、厄災の中で失われたようですが……あそこには、私たち以外の神が残した”遺物”が残っています」


つまり、女神様たちですら、何かわからないその力に頼ってみる……ってことか?


「そうなりますね……元々ダンジョンは、その遺物を閉じ込めるためのシステムだったのですが、それが何かまでは把握しきれていないので、状況をひっくり返す何かである可能性はあります……少なくとも、かなり強力な代物ではあるかと」


なるほど……ダンジョンって元々は封じるためのものだったのか……どっちかというとラビリンスだな。女神さんがダンジョンを創った理由ってそれだったのか。


だけど、確かに挑戦してみるのはありかもしれないな。千年ダンジョンなんて、何か心躍るワードだし。だけど、方針は何となくわかった。


要は、本番の戦いが始まる前の小競り合いの状態だ。その間に、俺たちは色々とやっておく必要があるってことだ。


「そういうことです。もちろん、今回の”試練”もこれからに関わってくることでしょう……しばらく、私は何の助力もできませんが、お願いします」


分かった。結局やることはあまり変わらない、やれるだけやるだけだな。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

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