4-11 ビーキン
王宮に到着した。
「おかえりなさいませララミィ様、レベッカ様」
門を通過し、王宮ではメイドに迎え入れられる。
ララミィは王族をすぐに治療できるよう
王宮にも居住スペースを与えられているようだ。
僕たちももすんなり入ることができた。
“聖母“の連れであるので、
問題なく通してもらえたのであろう。
それだけ聖女全体に対する王家の信頼は高いと言える。
しかし、これから向かうのは王の間らしい。
いきなりトップの御前である。
そこまでは予測していなかったが、
ララミィが見つけた有力な冒険者パーティー
という名目で僕たちは招かれる。
S級パーティーであることはまだ告げていないし、
何らかの能力で見破られたのか、
猫の手でも借りたい状況なのかどちらかであろう。
自分で言うのもなんだが、既に僕たちは
一度戦争を経験もしているので、そこいらの冒険者よりかは戦力にはなるだろう。
だがそれはララミィは知らないはずだ。
使用人に招き入れられ、王の間に入る。
僕たちいきなり来た形になるけど
大丈夫なのか……
「“聖母“ララミィ及び聖女見習いレベッカ
ただいま帰還致しました。
国が危機であるという報せを受け、
直ちに戻って参りました。
彼らは実力のある冒険者であり、
“聖母“ララミィの名において
彼らは信頼にたる人物であると判断しております」
つらつらと挨拶を済ませると、
僕たちの紹介も済ませる。
なんか大層だな……
僕盗賊倒しただけなんだけど
大丈夫なのか……
こちらが心配になってきた。
「うむ
“聖母“ララミィよ大義であった。
そなたの紹介であれば問題ないであろう。
早速今後の作戦について伝えようと思う。」
「お願いします」
いやいやいや、これも国家機密でしょきっと
こんなどこの馬の骨か分からないような
冒険者にしゃべっちゃ駄目でしょ
僕が心の中のあわあわが伝わったのか
カルカムンド王は笑いだし、
「ハッハッハッ
旅のものよ、心配は要らぬぞ
カルカムンドにとって聖女は国を守る大事な要職
しかもそのトップ“聖母“たる
ララミィが認めておるのじゃ
もはやララミィの決定はわしの決定と同義
よっぽどのことがない限りわしは認めるだろう。
それにわしも長く生きてきた。
君たちの目を見れば悪党ではないことくらいは分かる」
……まぁ認めてくれたのなら良いだろう。
僕たちも自己紹介を済ませ、話を聞くことになった。
その話によると、ことの発端は先日、
定期的に獣人族と直接取引をする
行商人が帰って来なかったことだという。
その件について問おうと
使者を送っても国に入れてもらえず、
襲われたようだ。
これは明らかな戦線布告であり、
明日にでも攻めて来る可能性があるので、
その準備をしなければならない。
国の防衛のため、
裏切られては逆効果なので、
信頼できる戦力は少しでも多く必要である。
そして、修行の途中であったララミィが
呼び戻され、たまたま旅をしていた
僕達もなぜか信用されており、
戦いに参加することになりそうだ。
当然エナ姫がリーベル王国の王女であることも
パティがエルフであることも言っていない。
疑問は湧くばかりだが、
信じて貰えてるなら悪い気はしないし、
もう手伝うと決めたので
何かあったらそのときはそのときということにしよう。
獣人の国、ビーキンというらしいが、
獣人王とカルカムンド王は実際に会って
話をしたこともある仲であり、国家間の関係は極めて良好であったらしい。
獣人王をよく知るカルカムンド王から言わせれば、
獣人王が指示を出して、人に危害を加えたとは
考えにくいようだ。
そのためビーキン内で間違いなく問題が起きており、
ビーキン内に人間に危害を加えない
獣人王派が存在する可能性は極めて高いという。




