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4-9 聖女

 エナ姫、パティに無事片付いたことを

周りに聞こえないようにそれとなく伝えた。


 じきに馬車も動き出すだろう。



 席に座っていると、

知らない女性二人組に声をかけらた。

服装からして、貴族とその使用人であろう。

年は僕たちと同じくらいに見える。


「あの、すみません……

何かあったのですか?」



 貴族っぽい身なりの人が話しかけてきた

もう一人は黙ってこちらを伺っている。


 一部始終を理解しているわけではないが

何かが起きた気配を感じ取ったようだ。


 僕が気配に気付いたように、

ある程度戦闘の心得があったり、

危険な地域で育ったものは魔力を感知することができる。


 この人たちもそれで気付いたのだろう。

アビリティの可能性もあるが、

そちらの可能性の方が高い。


 仕方がないので僕は一部はぐらかして、

盗賊の襲撃について伝えた。


「盗賊が出たみたいで

通りすがりの冒険者が倒したみたいですね」


「あら、そうですか

あなたが倒してくれたのですね!

ありがとうございます」



 話が噛み合っていないようだ……


 適当に会釈して話を終わらせると、

「そちらに座っても?」


 僕の隣が空いていたので、

そこに座ろうとしてきた。


 まだ話があるらしい。

馬車が動き出す前に座っておきたいようだ。


 エナ姫とアイコンタクトをとり、

了承を得たので、隣に座らせる。


 すると、彼女は周りに聞こえないように、

名乗った。



「私はカルカムンド王国で聖女をしております。

ララミィと申します。

こちらは聖女見習いのレベッカです。」


 もう一人の少女も頭を下げる。


 「あなたがここから消えて

何者かを気絶させて戻ってきたことは

分かっています

どうもありがとう。」


 貴族ではないようだ。

聖女……

詳しくは知らないが聞いたことがある。


 国によっては、

回復系のアビリティや魔法に精通した女性を集めた治療部隊がある。


 その人員を聖女というらしい。

僕のあやふやな知識が元なので

正しくは分からないが、国にとっては

欠かせない部隊であるので、貴族並みに

待遇は良いようだ。


 生まれは孤児が多いと聞く。

ララミィは僕と同じくらいの身長で、

レベッカは僕より少し低い。


 二人ともフードを被っており、

顔ははっきりとは見えなかった。



「いえいえ

馬車が止まったら困りますから……」


 適当に返事をする。


 馬車が動き出しても彼女達は隣にいた。


「お三方は冒険者ですか?」


 尚も話しかけてくる。

これは相手をしなければいけないやつだ……


「はい、僕たちは冒険者でカルカムンドから

さらに西へ向かう予定です。」

 知らない人にエルフの里へ向かうとは言いづらいので適当にぼかして言った。


「そうですか……」


 そう言うと、なにやら考え込む動作をした後、

こちらに向き直り、ララミィは言った。


「実は今カルカムンドでは

少々問題が起きてまして……

あなた方を腕の立つ冒険者と見込んで

お願いがあるのですがお話だけでも聞いて頂けないでしょうか


それに……

今は西の方へは少々行きづらくなっておりますので

そういう意味でもあなた方にメリットはあるかと」



……まぁ

何か言いたげに隣座ってきたから

用はあったんだろうけど

面倒なことになってしまった……


 また、魔族だろうか

デュルネステス族のような魔族が

他の国で現れていてもおかしくはない


 (どうする?)

 僕は【念話】でエナ姫とパティに話しかけた。


 パティも既に【念話】は習得している。

【念話】は区分としては無属性魔法である。

魔力を通わせれば、特定の相手だけと

声を出さずに会話ができるのだ。


(パティが大丈夫なら……)


 まぁ明らかに困ってる様子なので、

急ぎ帰る必要がないのであれば協力することもやぶさかではない。


 それにエナ姫はデュルネステス族絡みで

散々苦労してきたし、同じような状況であれば

助けてあげたい気持ちは強いだろう。


(ふむ……

私は大丈夫だぞ。

それに通れないなら、

どちみちなんとかしないといけないからな)


 二人の意見を聞き、とりあえず話を聞くことにする。

でも聞いてしまえばもう断りにくいよな……

まぁその辺りはなりゆきに任せよう。


「お願いします。」


「ありがとうございます。

んーそうですね

後少しで着くみたいなので

お話はカルカムンドに到着してからでも

大丈夫でしょうか?」


「分かりました。」




 そうこうしていると、カルカムンドに到着した。



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