4-5 たけなわ
さっそく僕たちの今後について、
アオイにも提案することにした。
「僕たちも一緒に帰ろうかな……」
「本当ですか?それは嬉しいです!」
しかしひとつだけ心残りというか、
引っ掛かる部分がある。
「でも……なんか申し訳ないな
アオイだけ家に残す形になって……」
僕たちの実家は一応は貴族の部類であり、
強制されていたわけではないが、
アオイは名のある家に嫁ぐために、礼儀作法を習っていたのだ。
そして、長男である僕ではなく
アオイが家に残る道を選んだ。
アオイは優しい子だ
無理やりそうさせているのであれば
罪悪感が半端ないし、僕もなんとかするつもりだ。
しかし、アオイは笑顔できっぱりと言った。
「いえいえ
私は本当にそうしたいだけですから
お兄様はお気になさらないで下さい」
なんど思ったことか分からないが
出来た妹である……
アオイと共に“エルガンス“の三人で
帰省することを提案し、承諾してもらった。
次はパティである。
さっそくパティの元へ向かい、話をつけに行った。
「ねね、せっかくパーティーも
組めたんだしさ、一旦エルフの里に帰るなら
僕たちもお邪魔していいかな?
リーベル王国としてもそうだけど、個人的にも
すごく助かったし、楽しかったからさ
パティを派遣してくれた里にお礼が言いたいんだ」
まだ王様からは何も言われていないが、
わざわざ救援のために遣ってくれたのだ。
国としては当然なにもしないわけにはいかない。
そこで、冒険のついでと言ってはなんだが、
パーティーも組み、仲もよくなったことだし、
王女もいるし、S級冒険者でもある僕たちであれば
王国の使いとしては申し分ないだろう。
こちらで先に色々決めようとしてしまっているが、
王国にとって不利益もないし、問題はないだろう。
駄目ならその時また考えればいいだけなのだ。
「後僕たちこれから世界を冒険しようと
思っててさ
目的地があった方が楽しそうじゃない?」
「そうだな
私は里からの任務でここに来ている身だ。
一旦里に帰る必要はあるが
その後自由に動けるのであれば
私も旅をしてみたい。
レイ達との探索は本当に楽しかったからな」
パティ……
「僕も楽しかったよ!
そういって貰えると嬉しいな
そうなったら歓迎するよ!」
過去に僕がパティと仲良くしてしまい、
エナ姫と僕との間でひと悶着あったのだが
もう許してもらえたし、
パティとエナ姫の間には問題はない。
むしろ二人は仲が良いし、
パティの方からしてもそもそも種族も違うし
僕を異性として見ているなんてことは
考えにくいだろう。
僕たちの間で話がまとまり、
後は宴会が終わった後正式に王様に提案しよう。
宴会には知らない冒険者も参加している。
僕は人見知りなので、周りに知り合いが多いところでひたすらピザを食べなからエナ姫としゃべったり、近くに来た人としゃべるスタイルだ。
エナ姫もそれは同じなようで、
特に話に行くようなことはなかった。
パティもそもそも知り合いが少ないので、
基本的に僕たちの近くで、僕たちと同じように
話しかけられたら答えるというスタイルを貫いている。
エナ姫はもう隠す必要もないので、
エナリオン=エーゲルトがエナ姫であるとういうことは認めているが、
パティの正体についてはまだ一部を除いて、
伏せたままだ。
エナ姫は自分から動きはしないが、
話しかけられたら笑顔で答えている。
所作の一つ一つが美しく、王女の気品を感じる
僕はというと、そういうことに慣れておらず
無愛想に見えるだろう。
今後のことを考えるとエナ姫に恥をかかせないためにも
そういうのも必要だよなぁ
と考えていると、僕の元に来客がやってきた。
ミールだ。
今回の作戦にはあらゆるギルドから
冒険者が集まった。
当然ギルド職員の尽力もあったので、
彼女も呼ばれていたようだ。
「大活躍だったみたいだね!
S級になったのも
まだお祝い言えてなかったから……
おめでとう!」
「ありがとう
ミールが色々サポートしてくれたおかげだよ」
ミールにもお世話になったが、
僕は旅に出ることになった。
彼女にも伝えなければならない。
「僕ね……
旅に出ようと思うんだ……」
僕は旅立つことを伝え、
今までの感謝の気持ちも伝えた。
しばらく話していると、ミールは言った。
「そっか……
レイ君はもうS級だもんね……
色々迷惑かけちゃったし
本当ごめんね……
レイ君のおかげで頑張ろうって思えたし
今の夢も見つけられたから
本当私も感謝してるよ!
ありがとね
またいつでも戻ってきてね
私はずっとここにいるから……」
ミールは今や僕にとって姉のような存在だ。
ミールが励ましてくれて気持ち的に
楽になったことは一度や二度ではない。
本当に僕は人に恵まれてるなぁ……
ミールとの話も終わり、
感慨深い気持ちになりながら
人見知りスタイルを貫いていた。
そして、宴会は終わった。




