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3-14 二人の部屋

 エナ姫の部屋で二人きりになった。


 明日からまたエナ姫といれるのか……


 探索自体が楽しいのに、

エナ姫と一緒に出来るなんて

楽しみだな……


 せっかく冒険者なったわけだしエナ姫と

色んなところを冒険したいな……


 なんて考えながら、話しかけてみる。

「明日から、楽しみだね」


「……別に」


 あれ?

そっぽを向かれてしまった。


 怒らせてしまったのだろうか




「最近楽しそうだもんね……」

そのままの姿勢で彼女は言った。


「え、うん

一回ソロになったけど

気ままに探索出来たし……


また仲間が出来てそれはそれで

楽しくなってきたし


今度はエナちゃんとも一緒だから

すごく楽しみ!」


 僕が笑顔で言うと、

彼女はまだそっぽを向いているが、

耳が少し赤くなってきたように見える。 


 そして彼女は恥ずかしそうにしながら言った。

「人の気も知らないで……

レイ君が女の子と二人で

パーティー組むとか言うから……


こっちは浮気しないように

頑張って終わらせて合流しにきたのに……」





 可愛い……



これはヤキモチというやつではなかろうか

「しないよそんなの……」


 そんな気は全く無かったので、すぐさま否定する。


 でも考えてみれば僕の気持ちとしては

絶対に揺るがない自信はあるが、

エナ姫としてはそれが分かってはいても

あまり女性と二人でいられるのは

心地よくはないだろう。


 だから二人で活動すると言ったときも

微妙な反応をされたのだ。


 正直パティは冒険者としてしか

見ていなかったので、全く気付かなかった。


 これはエナ姫には悪いことをしてしまった……


 「ごめんね?

僕はエナちゃんのことしか考えてないから

パティは仲間としてしか見てなかったんだけど


ただ、言われて考えてみたら女性だし

二人でずっといるのは

エナちゃんからしても心地良くはないなって

今気付いて……」


正直に謝った。



 エナ姫は僕が話している間は

こちらを見ていたが、言い終わると


「知らないっ」


 そう言いながらまた彼女はぷいっと

そっぽを向いてしまった。


 なんだろう

怒ってる理由が分かると無性に可愛くなってきた。


 それに、これは怒ってるというより

怒ってるアピールだろう。


 アオイに何度かされた記憶があるので、

ピンと来た。

そしてどうすれば収まるかも知っていた。


「ね、何でもするから許して?」


 そう言うと彼女はこちらを向き

意地悪な笑みを浮かべていた。



……これはやってしまったかもしれない

そう考えたときにはもう遅かった。


「じゃあもう二度とご飯作んないけど

文句言わないでね?」


……悪魔を呼び出してしまった……


「そ、それだけは許して?」

 僕が見上げるような形で懇願すると

エナ姫は顔を赤らめている。


……これはチャンスだ

僕はこの悪魔を撃退する方法を思い出した。

今度はもっと慎重に仕掛けることにする。


「エナちゃんのご飯食べれなかったら

餓死しちゃうから……

……これで許して?」


「ちょっ、何するのよ!?」

 いきなり抱きついてやった。

エナ姫は恥ずかしがり屋さんなのだ。


 こういう思い切ったことをすれば

大抵大人しくなる。


 僕も恥ずかしいが、やむを得ない。


「……」

「……」



 しばらくこの状態が続いた。


 おかしい……

そろそろ音をあげてもおかしくない頃なのに……


 ならば、止めを刺してやろう。


「ほんと……ごめんね

不安にさせて……

でもね、

エナちゃんがそんなに僕のこと

考えてくれてたんだって

嬉しくなっちゃった。」


 抱きつきながら、エナ姫は俯いているが、

僕は笑顔で言い放った。


「う、うるさい!

考えてない!

あっちいけ!」


 これははじめてのパターンだ……

突き飛ばされてしまった……


「もう……分かったから……」

 まだ赤いままの顔で

彼女はそれだけ答えた。

どうやら許してくれたようだ。


「ほんと、ごめんね……

今後気をつけます……


明日からまたよろしくね!」


「ん……」






 エナ姫の部屋でゆっくりしていると、

マチルダさんが戻ってきた。


「お話は終わったようです。

パティスラズリさんは拠点にお送りしました。」


 パティの場合、僕の時のように王様から

やかられることはないだろう。


 普通に里のことや盟約のこと、

そして魔族との戦いについての話だと

察しがついた。


 何事もなく話は終わり、

マチルダさんとは別の使用人が

パティを拠点に送ってあげているらしい。


 エナ姫は夜は王宮に残り、

翌朝軽く変装して出かけ、

僕たちと合流し、夜にはまた戻るようだ。


 エナ姫と一緒に住めないのは寂しいが、

計画には細心の注意を払わねばならない。


 日中出かける分には不自然ではないだろう。


 夜も更けてきたので、僕は拠点に

帰ることになった。



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