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3-10 盟約

 倒れていた人物の耳が長く、

見慣れない形をしていたのだ。


 実物を見たのは初めてだが、

恐らくエルフと呼ばれる種族だろう。

性別は女性に見える。

平静を装い、再度声をかけてみた。


 敵の可能性も、

言葉が通じない可能性もあるが、

声をかけてみないと始まらない。

好奇心が勝ったとも言える。


「怪我はないですか?」


「……大丈夫だ

すまない……助かった

強いんだな……」


「いえいえ

それよりその傷を……」


 僕は傷を治癒しようとしたが、

治癒魔法はマジックハントはしたものの、

使ったことがないので、手間取っていた。


 すると、エルフの女性と思わしき

その人は言った。


「大丈夫だ……

不意を衝かれて危ないところだったが

この程度なら自分で治せる……」


 そして、たちまち傷を治していった。


 呆気にとられながらも、

マジックハントを試みる。

しかしハント出来なかった。


 完治した彼女は、

耳も人間と同じサイズになっていた。

普段はこのように、隠しているのだろう。


 そして、彼女は言った。

「本当にありがとう

君がいないと危なかった……


そして気付いているとは思うが、

私はホーリーエルフのパティスラズリだ」


 話を聞くと、

ピエロゴブリンがいることなど

知らない彼女は、

エルフに化けた魔物に

無防備にも近付き、不意討ちを食らったようだ。


 ピエロゴブリンは狡猾だ。

相手が人間のような見た目であるのに、

エルフだと気付き、エルフに化けたのだ。


 なんとか、致命傷は避けたが、

回復する間も与えられず、防戦一方のところで

たまたま僕が来たという流れだったようだ。


「あまり、

不用意に正体を明かせられないのだが、

君は命の恩人だ。


それに、なんとなく信用できそうだ。

私は善良な人間がいることを知っている。


全て話そう」



……どうやら彼女はリーベル王国からの

救援要請を受け、王国に向かう途中だったらしい。


 エルフの里と交流があったのか……

そんなこと聞いたこともないが、

とりあえずエナ姫に会わせることにした。


「オッケー、僕はコイツの討伐を頼まれてたんだ。

とりあえずギルドに向かわなきゃダメなんだけど

会わせたい人がいるから付いてきてもらえる?」


「承知した。」


 そして、パティスラズリ

長いのでパティと呼ばせてもらっているが、

彼女とギルドに向かうことになった。


--ギルドに着いた。


 見た目は人間になっているので

大丈夫だが、詮索されると面倒なので

僕だけでギルドに入り、報告を終えた。


 シャミィさんはまた何か

驚いていたが、足早にギルドを出ると、

パティを連れて拠点へと向かった。


 【念話】でエナ姫との通信を試みる。

【念話】はすでに、マジックハント

させてもらっている。


 アビリティでも出来るが、

こちらの方がエナ姫と同じ手段であるので、

何かと便利なのだ。


 (いきなり、ごめん

今から話せる?)


(分かった。行く……)



 丁度時間が取れるらしい。

エナ姫が来てくれることになった。


--拠点に到着した。


 パティを座らせて、

飲み物でも用意しようと思っていたら、

エナ姫がやってきた。



……コンコン

「どうぞー」




「この人は?」

 入ってくるなり、パティを見つけ、

何故かかなり不機嫌な様子で僕に聞いてきた。

多忙のため、機嫌が悪いのだろう。

申し訳ないことをした……


「ごめんね、忙しいのに……

彼女はパティスラズリさん

エルフらしいんだけど、リーベル王国に

救援に来たんだって」


「エルフ!?

なにそれ……」


 エナ姫も始めて聞いたようだ。


 しかし、それを聞いて何かを思い出すように

考え込んでいた。


 しばらく経つと、エナ姫は改めて

軽く挨拶をかわした後、切り出した。


「大昔……エルフの里と交流があったらしい……

その時盟約が交わされて

お互い困ったときに助け合おうってことに

なったみたいなんだけど……


エルフなんて見たこともないし

半信半疑だったの……


でも国がピンチになりそうだから

王家に伝わる笛を吹いてみたって聞いたわ……

その時なにも起きなかったから


言い伝えは本当かどうか結局分からなかったんだけど……」


 そこまで言うと、今度はパティが答える。

「たしかに

人間で言えば大昔になるのかもしれないな……

300年前私はまだ生まれていないが、

私の里はリーベル王国の英雄に救われた。

そして盟約を結んだのだ。」


 彼女の話によると、

その盟約により、エルフの笛が送られたが、

今までその笛が吹かれることはなかった。


 

 エルフの里は結界があり、基本的には

人との交流がないので、人側が里に来る手段がない。


 そのための笛だ。

エルフが作った特別なもので、

この笛を吹くと、どれだけ離れていても

彼女の里に伝わるようだ。


 そして様子を伺うために派遣されたのが

彼女ということらしい。


 エルフの寿命は人より長い。

そのため、エルフにとっての300年と

人間にとっての300年が違う。


 エルフ側にとっては当時生きていた者もいるので、

少し前の出来事でしかないが、

人間側には伝説のような形で

語り継がれてきたようだ。

……


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