3-9 未界
--翌朝
今日はギルドマスターと話をする日だ。
早速ギルドに向かうと、今日もミールがいた。
2階に案内されると、
背の高いおじさんが座っていた。
そしてミールは受付に戻り、二人きりになった。
「君がレイ君だね?
私はギルドマスターのゲイブルだ
よろしく頼むよ」
「よろしくお願いします」
ギルドマスターは元S級の冒険者だったらしい。
それくらいしか知らなかったが、
傷だらけの顔と、発せられるオーラから、
歴戦の猛者感を感じる。
「さて、本題に入ろうか
君のことは王からも聞いている
魔族と戦うなら絶界にも入らなければならない。
その実力があることもシャミィや新入りから
既に聞いている。
既にB級のクエストを苦戦することなく、
一人でこなしているようだな
ギルドとしてはA級として認めても良いのだが、
やはりA級レベルのクエストをこなさないことには
認めないものも現れるかもしれないからね。
そこで、君に頼みたいクエストがあってな。
今丁度街に魔物が出ているんだ……
未界の探索も含めて討伐依頼が出ている
その討伐を任せたいのだ」
僕はA級の実力はあるらしいが、
認めないものもいるかもしれない。
冒険者は実績の世界である。
しかし、街を襲う魔物を倒すと、
それだけ経歴に箔が付く
文句も言われなくなるだろう。
そのためにお膳立てしてくれたのだ。
さらに未界に潜む魔物を討つことは、
今後のためにもなるだろう。
僕にとってメリットしかない。
僕はゲイブルさんにお礼を言い、
クエストを受けることにした。
未界には一人で向かうことになった。
ターゲットはピエロゴブリンと呼ばれる
ゴブリンの亜種で人に化ける能力を
持っており、魔法が得意である。
ランクでいえばBランクの魔物のようだが、
本来クエストとしては、
Aランクパーティーでないと受けられない。
街を襲う魔物はそれだけで
危険な存在であり、緊急性が上がるので、
クエストのランクが上がるのだ。
1ヶ月程前から行方不明が多発しており、
最近の調査で、この魔物の仕業である
ことが分かった。
その情報により、おおよその出現場所が判明した。
その周囲に未界は3ヶ所ある。
人に化け、たまに街に現れては、
未界に身を隠している。
ずっと街にいてはアビリティによって
発見される危険性が上がるからだ。
このピエロゴブリンが街に現れ、
人を襲う理由は分からないが、
魔族と関係しているかもしれない。
確実に仕留め、可能であれば
情報も引き出したい。
--一つ目の未界に向かった。
『サーチ』を使ってみると、魔物がいた。
近付いてみると逃げていったので、
紛れ込んだだけの魔物であり、危険は無さそうだ。
討伐対象ではないので、放置することにした。
これが絶対に正しい方法とは限らないが、
無闇に倒すと仲間が街を襲いにくるかもしれないし、
ターゲットを早く倒したい。
いちいち倒していてはきりがないのだ。
危害を加えてくるようであれば
また討伐すれば良いだろう。
次の未界に向かうことにした。
--2つ目の未界についた。
未界がどんな場所かは大体分かったが、
ターゲットは見当たらない。
この調子だと、
街に出ないと見つけられないかもしれない。
そうなると厄介だ。
街での戦いは避けたいし、
人が無数にいるため、発見に時間がかかる。
『サーチ』は便利なアビリティであるが、
対象が複数あると、絞り込みにくいのだ。
これは今日中には終わらないかもしれない
半ばあきらめかけて3ヶ所目に向かった。
--ターゲットがいる可能性が高い
最後の未界に到着した。
早速『サーチ』を使うと、
戦闘中の二つの反応があった。
『瞬足』で近付くと、
傷を負った女性と、襲いかかっている
人型の何かがいた。
念のために『分析』で
ピエロゴブリンであるか調べる。
アビリティについてだけでなく、
名前も分かるのだ。
アビリティは使えなさそうだったので、
一応ハントだけしておいた。
そして、名前は間違いなかったので、
『瞬足』で近付き、『ハイパワー』で
短剣状にしたグスタフで切りつけた。
『ハイパワー』は必要ないかもしれないが、
一発で仕留めるための保険だ。
すぐに片付けると女性の方へ向かう。
「大丈夫?……!?」
いま倒したゴブリンに襲われていたであろう、
傷を負った女性に声をかけると、
想定外のことが起きていた。




