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2-10 ご挨拶

--エナ姫の寮についた

部屋をノックすると、迎え入れてくれた。


 部屋に入るとさっそく

アオイが挨拶を始めた。

「ペスカリア地方

セプテンヴァー家長女

アオイ=セプテンヴァーと申します


兄がいつもお世話になっていようで

ありがとうございます。


本日はお招き頂き誠にありがとうございます。」


 次いで、エナ姫、マチルダさんも

同様に挨拶をした。

こうして挨拶の所作を見ていると

二人とも様になっている。


 僕たちの実家があるペスカトリア地方は、国王がおらず、

いくつかの領地があり、領主もいるが、

ペスカトリア地方と言えば大体は通じる。


 さらに、言ってしまえば

細かく領地を言っても伝わらない。

ということで、これが正式な挨拶らしい。


 僕も小さい頃習いはしたが、

こういったお堅い挨拶は苦手だったし、

僕はここまで自然にはできない。


 エナ姫はエナ=リーベルとして挨拶していた。


 当然知らせていなかったアオイは

困惑している

リーベル姓はリーベル王家にのみ許されるのだ


「?」


「ごめんなさい、びっくりさせて

エナリオン=エーゲルトは仮の名前なの


あなたにはこちらで挨拶させてもらいたくて……」


「そうなんですね!

教えて頂きありがとうございます!」

 アオイは目をキラキラさせていた。


 今回はマチルダさんも話し合いに

参加してもらうことになった。


 当然卒業することになれば

寮を出るので、マチルダさんにも

伝える必要があるのだ


 挨拶が終わると、

さっそく本題に入ることにした。


 まずは正式にマチルダさんに

報告しなければならない。


「マチルダさん、この度

エナ姫とお付き合いさせて頂くことになりました。」


「……

そうなんですね!

おめでとうございます!」


 最初の間が少し気になるが、

大して驚く様子もなく笑顔で祝福してくれた。

僕たちの関係については薄々気付いて

いたのだろう。


 さらに聞いていた通り、

身分的な問題は大丈夫なのだろう

リーベル家のメイドとしても祝福してくれているようだった。


 しばらく談笑した後、もう1つの本題に入る。


 僕がエナ姫の方を伺うと

それだけで気付いてくれたのか

念話で話しかけてくれた。


(アオイさんにも話して大丈夫だから……)

(オッケー!ありがと!)


「僕に関しては普段の実績が無さすぎて

すぐに卒業できるかわからないのですが……


卒業できたらエナ姫とともに冒険者として

活動しようと考えています。


まずはリーベル王国に蔓延る魔物を

討ち滅ぼすため

力をつけたいと思います」


 マチルダさんもいるので敬語で話した。


 マチルダさんは僕に感謝の言葉を

述べてくれた上で

改めてリーベル王国の現状を説明してくれた。


 アオイは心配そうにしてくれていたが、

丁寧に問題ないことを説明すると

納得してくれたようだった。


 そして何故か、親睦を深めるために

エナ姫とアオイ、僕とマチルダさんに別れて

話すことになった。


 僕たちはリビングに残り、

残る二人はエナ姫の部屋に行った。


「改めて感謝申しあげます。

リーベル王国のこと、

またお嬢様自身のこと……


国王様はたしかに、お嬢様に

国のことはあくまで可能な限りで良いと

おっしゃっていました。


お嬢様も私たちには

そう言われているので

気にしなくていいとおっしゃいます


お嬢様なりの気遣いなのでしょう

レイ様にもそうおっしゃられたと思います。」


 確かに言われた記憶がある。

マチルダさんにはお見通しのようだ。


「ですが、お嬢様は本当にお優しい性格で

本当は国のことが心配でたまらないのです。

同時にレイ様に手伝わせてしまったことを

気にかけておられるはずです


レイ様はそれを理解した上で

手伝うと言ってくれているように感じました。

出会って長くはないようですが

厚い信頼関係なのですね」


 買いかぶり過ぎのような

気もするが確かに気を遣いすぎる性格の

エナ姫が少しでも気を遣わなくて

済むよう心がけているところはある。

何にせよ、よく思ってくれているなら嬉しい


「私もお付きのメイドとして幼少期から

かなり親しくさせて頂いておりますが、

今までは誰にも心を開いておられない

ように見えました。


王宮は少々……ドロドロしたところが

ありますのでそこで育ったお嬢様は

自分を守るために自然とそうなってしまったのでしょう……」


……なんとなく想像はついたが

権力あるところに陰謀は付き物である。


 さらにエナ姫は感受性が豊かなほうだ。

その環境で人間の綺麗な部分だけを見て育つ

というわけにはいかなかっただろう。



「ですが最近のお嬢様は学園や魔法、

もちろんレイ様のことも、

嬉しそうにお話になられます。


私個人としてはそれが一番嬉しいのです


だから……


私が言うまでもないことですが

大事にしてあげてくださいね」


……

エナ姫は愛されてるなぁ

少し羨ましく思う。


 主従関係を越えて、一人の

人間として好かれていると感じた。

エナ姫の人柄によるものだろう。


……一段落すると、ちょうどあちらも

話が終わったようでリビングに戻ってきた。


そして

「私、こんな素晴らしいお姉様ができて

本当に嬉しいです!」

アオイが興奮している。

なにやら意気投合したようだ


 アオイは気難しいところがあり、

僕以外にあまりなつかなかったのだが

心配はいらなかったようだ。


 それにしてもお姉様って……

エナ姫はそれでいいのか……



 今度はまた四人で談笑することになった。

アオイはマチルダさんとも話していた。


 人見知りだったはずだけど

見ないうちに成長したんだなぁ

しみじみそう感じていた

そしてエナ姫に思っていたことを言った。


「エナちゃんって愛されてるよね

アオイもなついてるし……

めちゃくちゃ性格良いもんね

ほんと自慢の彼女だよ」


 すると彼女は何故か小さく笑った。

疑問に思っていると、

「私も同じことを思ったわ

私たち……似た者同士ね」


 聞けばアオイは僕以外にあまりなつかないのと同じように、

マチルダさんも仕事以外では、

笑顔を見せることもなければ、

ほとんど話すこともないらしい……


 笑顔でよく喋るマチルダさんしか

知らないので意外だった。

 

 よくわからないが気に入って貰っているなら

良かったということにしておこう。


 このまま夕食をご馳走してもらうことになり、

夕食を食べた後僕たちはそれぞれの寮へと戻っていった。

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