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2-9 妹

--次の日の放課後

妹が住む、寮を訪ねた。


 コンコン……

「はーい!」


「あらお兄様、会いに来てくれたのですね」


 ドアを開けるや否や抱きついてきたこの少女が、

妹のアオイ=セプテンヴァーだ。


 小柄で僕と同じ黒い髪であり、

年に似つかわしくないほど

落ち着いた温厚な雰囲気を醸し出している。


 兄馬鹿ではなく、かなり整った可愛いらしい

顔立ちをしているので、

そういった意味での人気も高いはずだ。


 兄としてはある種寂しくもあるのだが……

二人のときは今でもこうやって甘えて来ることが多く、

しっかりしてるようにみえて

ほっとけないところもある。



「わざわざ来ていただきありがとうございます!

お兄様!

サーマント祭優勝おめでとうございます!」


「ありがと、そのことでちょっと話があってね」


「分かりました。入って下さい」


--妹の部屋はシンプルでものはほとんどない

現在小さな机を挟んで向かい

合わせて座っている。

彼女は現在中等部三年として通っている

将来有望な実力者でかなりの早さで卒業への道をかけ上ろうとしている


 卒業する方法は高等部三年を

修了することのみなのである。


 成績優秀者は実質の卒業を認められるが、

正確には高等部三年までの履修内容を

理解したと認められ、学年に関わらず、飛び級で高等部三年として、

卒業できるのである。


 例えば現在高等部三学年であるエナ姫は

サーマント祭優勝により

一気に卒業できることが濃厚だが、

初等部から一気に卒業するには

かなりの実力がいる。

しかし、実力が認められれば、

年齢に関わらず、上のクラスに進むことができるのだ。



「学園はどう?楽しい?

危ない目にあってない?

ごめんね最近あんまり来れなくて」


 いきなり質問攻めしてしまった。

それだけ心配なのだ


「ええ、それはもう」

「大丈夫です!」

「いえいえお兄様もお忙しいでしょうから……

でも今日来ていただけてアオイは嬉しいです!」


 アオイは一つ一つ丁寧に答えていく。


「そっか……

良かった良かった」


「申し訳ありません

私の我儘で学園に来ていただいて


でも私はもう大丈夫です

一人でやっていけますので」


 話に来た内容をなんとなく察したのだろう

こちらから言いにくいことを気にして

笑顔で自ら話を振ってくれた


……できた妹である。


「ほんとに?

嫌な思いとかしてない?」


「ええ、大丈夫です

お友達もできて楽しく通わせて

頂いております。

本当のことを言うと、寂しい気持ちは

あってお兄様と一緒に通いたかったのは

本心なのですが、危険も少ないですし

一人でも問題はないのです。」


 妹はアビリティが強力で

社交性も高く、そう言った意味では

一人でも問題ないだろう。


「ただ、勝手ながらお兄様は才能も人格も素晴らしく

世界を救うような大人物になると

確信しておりますので

外の世界をもっと知った方が見聞も広がりますし

田舎にこもって一生を終えるのはあまりにも

もったいなく、お兄様のためにもならないと思い


強引な手段で本当に申し訳なかったのですが

お誘いさせて頂いたのです。

申し訳ありませんでした。」




……思わず泣きそうになった

そこまで考えてくれていたのか……

アオイにばれないようになんとか涙をこらえ

平静を装って話す


「ありがとう

やっぱりアオイは最高の妹だよ


全然問題ないよ

むしろ楽しんでるし

そこまで考えてくれてて感謝しかないよ」


 笑顔でそう言うと、

アオイもパァァッと笑顔になった。


自分のためにあんな我が儘を言う子では

なかったので、不思議ではあったのだが

入学に関してそこまで思ってくれていたのか…


 まだ初等部に入るかどうかの年齢だったはずだが、

恐ろしいほど気が利く妹である。



「それで本題に入るんだけどね

サーマント祭も優勝したし、卒業して

冒険者を目指そうかなーって思ってるんだ」


「良いじゃないですか!

私のことは大丈夫なので

頑張って下さい!

私もすぐに追い付きます!」


「ありがとう」




 ここで何故かアオイの醸し出す

空気感が変わり、アオイは話を変えた。

「それより、エナリオン=エーゲルト様とは

どういったご関係なのですか?」


「僕の大切な人だよ」





「そうですか……

今のお兄様はいきいきしてらっしゃいますものね

我が儘を言うといつまでも私だけの

お兄様であって欲しいですし、

少し寂しいですが

お兄様には幸せになってほしいので」


 アオイは笑顔で言った。

良い子過ぎる……


「ありがとう……」


「それで、一度ご挨拶をさせて頂けませんか?」



「挨拶?」


「ええ

兄をお願いしますということと、

場合によっては…………


お兄様は少し優しすぎるところがありますので

私は心配なのです……」


 場合によってはの後は聞こえなかったが

聞かない方がいいだろう


 どこかで会ってもらいたいとは思っていた

いつ卒業できるようになるかわからないので

早い方がいいだろう。



『リンク』をつかい、意識のシンクロをはかる

原理はよくわからないが遠くでも気付けることがあるようだ。

エナ姫を感じたので『テレパシー』を飛ばす


『テレパシー』だけでは離れたところからだと

対象がつかめず伝えることが難しいのだ。

今から妹と訪ねていいか聞いた。

どうやらいいようだ



 さっそく向かうことにした



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